悪いことをし、嘘をつき続ければ、いつか話に矛盾が生じ論理破綻し、ついに自分の首を締めることに――。
その典型例が、大阪のお寺「正圓寺」(西成区)の乗っ取り事件で、本紙がすでに逮捕された南野潤二、西村浩(冒頭左写真)両被告の仲間と見て追及している不動産会社「ゼフィア」、警備業「ユニテックス」などの会社を率い、100億円以上売り上げている中務稔也氏(冒頭右写真)だ。
本紙は昨年末、この中務氏が、お寺境内隣のお寺所有地(右横写真)を買っておらずただ所有権を移した(西村被告が代表の「エクシオコーポレーション」で)だけで、自分が真の所有者でないことを知りながら、善意の第三者に転売して約1億1000万円の利益を不当に得た横領容疑で逮捕、起訴されている前出・西村被告に、お寺の不動産すべて(お寺の本堂、納骨堂、庫裏も含む)を売却する一切の権限を与えるとする「委任状」を出していたことをスッパ抜いた(下左側写真=その委任状)。
なぜ、中務氏がそんな委任状が出せるかというと、西村被告側は、お寺の債権逃れのために所有権をエクシオ社に移しておけばいい(後で所有権を戻すといっていた)といい、お寺代表に白紙委任状に署名・捺印させるなどして、隣土地だけでなく、境内不動産の一部所有権もエクシオ社に替え、その後、その所有権は移転し、現在、お寺土地(約3500坪)の約4割は中務氏が所有する高級マンションに住む若い女性が代表の「RE美EAL」の所有に。そして、残りの約6割はお寺から直に購入したとしている(中務氏が代表のゼフィアで。ところがその後、その一部が別の女性が代表の会社に所有権移転するも、中務氏が代表の別会社ユニテックスに債権があるとして競売申請し、中務氏個人が落札)から。そして今年4月7日付けで、お寺乗っ取りのエクシオ社・西村代表に中務氏だけでなく、本紙が善意の第三者ではなく中務氏のダミーと見る「RE美EAL」も西村被告代表のエクシオ社に委任状を出していたからだ。
大阪府警は中務氏を「善意の第三者」と見ており、逮捕するつもりはまったくないようだ。その背景として、中務氏と府警との癒着疑惑、ヤメ検の圧力説さえも出て来ており、本紙はその疑惑を物語る音声記録をすでに報じている。
こうしななか、中務氏はこれまでに本紙に5つも民事訴訟を仕掛けている(内1件は本紙の勝訴)が、その内の一つ、勝訴した1件とは別の記事に関する記事削除仮処分事件の審尋が昨年12月27日午前11時から東京地裁であった。
内容は、中務氏が、お寺不動産の一部につき競売申請した件で、暴力団側に西村被告を介して落札を頼もうとしていた疑惑があるというもの(実際は中務氏自身が落札)で、中務氏はそんな事実はないとして提訴している。
中務氏は、そもそも別の懇意にしている事件屋の紹介で西村・南野両被告、それに住職と知り合っており、したがってエクシオ社への所有権移転が実態のないものであることを当初から知っていた可能性さえ高い。しかしながら、自分もお寺側同様、後で騙されていたことに気づいたとして、お寺側と2020年5月に「合意書」(右横写真)を交らし、そのなかでエクシオ社へのお寺隣土地の乗っ取りも解決するとしていた。
これに対し、本紙と争われている記事削除仮処分における入札に関して暴力団側からお寺代表の加尻こと平岡弘聖被告に電話があったとされる時期は、それより後の22年4月頃のことなので、本紙としてはその後も西村・中務氏は裏でつるんでいる証拠を出す必要があった。そこで、この委任状を提出した。何しろ、23年4月とさらに後の時期なのだから。
これに対し、中務氏側の弁護士は、中務氏はそんな「委任状は出していないと言っている」と裁判官に語った。
そこで、本紙・山岡は「それはこの『委任状』が偽造ということですか?」と問うた。
これに対し、弁護士は「その点も含め次回期日(今年1月25日)までに反論する」旨言って、認否を明らかにしなかった。
だが、この「委任状を出していない」との主張は虚偽であると思わないわけにはいかない。
以下、その理由を述べる。