アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「正圓寺」乗っ取り事件――逮捕前夜、お寺代表は本紙取材に「警察が無茶な和解条件提示。拒否したので、私は逮捕される」と吐露していた(その音声記録を公開)

12月4日、大阪のお寺「正圓寺」の乗っ取り事件で、宗教法人「正圓寺」の代表に就いていた加尻こと平岡弘聖容疑者(冒頭写真。54)が逮捕されたのは大手マスコミ既報の通り。
だが、平岡容疑者は代表に就く前にお寺総代で、お寺を乗っ取られた被害者側の者だ。
本紙はこの事件、すでに乗っ取り側の南野潤二・西村浩両被告が逮捕・起訴されるなか、いよいよ裏で両被告と通じていたと見られる中務稔也氏(右下写真)が逮捕されると見ていた。
ところが、結果は南野・西村被告はむろん、中務氏もお寺乗っ取りの詐欺容疑で、辻見元住職(被告)と共に告訴していた(受理になり捜査していた)加尻こと平岡容疑者の逮捕。
いったい、これはどうしたことなのか?
結論をいえば、中務氏が府警に影響力を持つヤメ検(元検事の弁護士)を雇い、府警に圧力をかけ、すでに事件化しているし、そもそも警察は民事(示談交渉)不介入が原則なのに、平岡容疑者と中澤氏の示談を仲介。それも乗っ取り疑惑のある中務氏に圧倒的に有利な条件を提示し、それを飲まないと平岡容疑者を逮捕すると脅していたようなのだ。
そこで、本紙では12月7日、この重大疑惑を「『正圓寺』乗っ取り事件で本紙ネタ元が逮捕に――黒幕、ヤメ検使い府警仲介で示談交渉も、ネタ元が拒否した報復!?」というタイトルで報じたが、まったくというほど反響はなかった。
そこで今回、平岡容疑者逮捕前夜(12月3日)に、本紙・山岡が平岡容疑者を電話取材した際の音声記録を公開することにした。
むろん、自分が逮捕されることを察した平岡容疑者が、自分を正当化して虚偽の事実を述べた可能性が100%ないとは言い切れない。
ただし、本紙はこの平岡容疑者から主に情報提供を受け、このお寺乗っ取りが事件化したのは今年10月のことだが、その約2年半前から取材し報じて来ている
これに対し、中務氏に、自分も乗っ取りに関与している疑惑があると報じたことは名誉棄損だとして記事削除仮処分を本紙は申し立てられた。だが、裁判所は「真実相当性がある」として記事削除を一切認めなかった。要するに、本紙だけでなく、裁判所も仮にしろ乗っ取り疑惑があると認めているのだ。
また、本紙は平岡容疑者が、本紙だけでなく、複数のお寺関係者に、中務が警察の捜査に圧力をかけていたと話していたことを確認しているし、平岡容疑者ではなく中務氏こそが逮捕されてしかるべきとの証言も得ている。
本紙では木原事件を精力的に報じている。
また、つい最近、警視庁公安部によるデッチ上げ逮捕疑惑が浮上。さらに愛知県警では勾留中の容疑者が暴行など受けて死去するなど、警察の疑惑や不祥事が後を絶たない。
そのなかでも本来逮捕されるべき者が逮捕を免れ、被害者側が逮捕されるなど、この疑惑が本当なら、一大事件ではないか。
以下、逮捕前夜の本紙・山岡と平岡容疑者との音声記録を公開すると共に、反訳文を紹介する。
なお、この時の実際の会話は約11分だが、公開したのは疑惑の核心部分の4分31秒だけ。それから、何カ所か音を消した部分(それもかなり長い時間)があるが、それは中務氏側で警察に圧をかけたとするヤメ検の名前や、そのヤメ検がどういう人物か説明している箇所。現時点では、そのヤメ検の名前は伏せた方が得策と判断した結果による。

〇反訳文(「」は加尻こと平岡容疑者。――は本紙・山岡。また(*)は編集部が補足したもの)

「今、警察との駆け引きがあるんでね。
要は、警察がそういうふうに、警察主導でそういう話(*中務氏との示談仲介を)をさせられとったんですよ」
――だって、それがなくなる(*示談話が決裂)というのは何でなんですか? じゃあ、加尻さん、ヤバイんですか? 正直。
「まあ、ギリギリ……。ボクが蹴っているんで。要はもう無茶苦茶な条件を警察が出しているんで」
――ええ!
「要は中務寄りの話、中務がヤメ検でね、あの、何やったかなあ(*実名を言っているので無音処理)。まあ、有名らしい」
――大阪にそんな弁護士がいるんですか? ヤメ検の?
「東京です(*ヤメ検の説明をしているので同)」
――(*無音処理あり)大阪高検検事長? あれは違うな」
「逢坂先生も所属していますよね。(*無音処理)」
――元々、東京の弁護士?
「大阪地検にいたり、ちょっとまだ退官して4~5年やから、結構な、大阪地検とか、大阪府警本部にいろいろ人脈があって。そこの圧力が今まだかかっている。ちょっとまだ内緒にしとって下さいね」
――いざとなったら、バーンとやりましょう。決裂完全にしたら。それでまた無茶言って来たら、加尻さんがOK出してくれれば、いやもう、いくらでもこっち(*報道を)やりますからね。そんなの。
「わかりました。わかりました」
――もう、ふざけるなだよ。本当。だって、それ警察の言ってみりゃ癒着、汚職やん、それ。
「そうそう、まさにそうなんですよ」
――しかもその上で、向こうに有利なこと、無茶苦茶な要求をして来たから、ということですか。さすがに。
「そうです、そうです。だから、ボクは(*示談話を)蹴っていて」
――いくら何でも、そんな滅茶苦茶飲めないという話ですか?
「そうです、そうです、そうです。はい、そうなんです。
で、ともかくずっと中務と和解しろと。和解しなかったら逮捕するぞと、そういう感じで来てて、その和解の条件を聞いたらもう無茶苦茶な話で」
――ボクに対しても、ということですか?
「え?」
――ボクも? だから、山岡の記事も全部消させると(いう和解条件)。
「そうそう」。
――当然、それは(*本紙の記事削除)入っているわけでしょう?
「入ってます、入ってます、入ってます。入ってます。で、一応その(*お寺の)不動産の話も、何かその……」
――全部、(*お寺側に)返さないという話ですか?
「お寺の境内(*横写真の黄色囲み部分)は返すけれども、前の特養を建てたところ(横写真の黒色囲み部分)あるじゃないですか……」
――遊休地というか、空いているところですか?
「一番初めに、古西(*経治氏。中務氏の仲間)経由で買っている(*正確には所有権移転)分ね」
――境内の外のこと?
「そうそう」
――だけど、あれはもう善意の第3者がやっちゃったから取り戻せないんじゃないですか?
「いえいえ、それは西成ですよね。老人ホーム建っているところ」
――あれは元々境内の中の土地じゃないですか。
「そうそう、そうなんですけど、要はその半分は中務にあげろと」
――ああ、なるほど。
「要は後、境内地の本堂はお寺に返すけども……」
――さすがに。
「だけど加尻、あんたはドケと。他の僧侶にやらすからと。それを中務が資金支援するとか、もうわけのわからん……」
――ああ、じゃあもう実質、全部乗っ取るという話じゃないですか。
「そうそうそう」
――簡単に言えば。
「そうそう、そういうこと」
――何じゃ、それ!?
「それはダメですよということで、ボクはずーと今、交渉しながら、あの……。というても、ボクは何も犯罪してませんからね、何にも」
――ええ。
「それを、あれが悪い、これが悪いと、何ていうんですかね、こじつけですよね。それをボク、ずーっと抵抗しているところなんです」
――僧侶(*辻見元住職。被告)と一緒くたに、お前も共犯だということでしょう。知らなかったにも拘わらず。
「そうです、そうです」

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