大阪府警(冒頭右写真。捜査2課)は12月4日、「正圓寺」(大阪市阿倍野区)の乗っ取り事件に絡み、お寺の元総代で、今年9月から正圓寺の同名宗教法人代表に就いていた平岡弘聖容疑者(冒頭左写真。54)を新たに逮捕、そして宗教法人の前の代表で住職だった辻見覚彦被告(56)を再逮捕した。
本紙でも既報のように、このお寺を巡る事件は、まず10月5日、南野潤二・西村浩両被告と辻見被告の3人が、お寺横のお寺所有地の虚偽登記で逮捕に。そして10月25日、この3被告が今度はお寺境内の不動産の虚偽登記で2度目の逮捕。さらに11月14日には西村被告がお寺横のお寺所有地を自分が代表の「エクシオコーポレーション」に虚偽登記した上に善意の第3者に売ってその転売益1億1000万円を横領した容疑で再々逮捕されるなどした。
こうしたなか、3度目の逮捕の勾留期限が来たことから、本紙では今度こそ、南野・西村両被告とつるんでいたとしか思えない「ユニテックス」、「ゼフィア」代表の中務稔也氏(右下写真)の逮捕かと期待していた。ところが、結果は中務氏の逮捕はないどころか、本紙はこの間、中務氏をお寺乗っ取りの黒幕と見て報じているが、その最大のネタ元で、南野・西村両被告を、辻見元住職(被告)と共に、お寺乗っ取りの詐欺容疑で告訴(受理になっている)していた平岡容疑者の逮捕となった。
本紙は平岡容疑者らから情報を得ていたものの、まだ伏せておいてくれということで報じてなかったが、遅くとも3度目の逮捕後、平岡容疑者は、府警捜査2課が仲介するかたちで、中務氏と示談交渉を進めていた。
ところが、その示談の内容は、実際には中務氏が騙し取っているにも拘わらず、特別養護老人ホーム建設を計画したものの頓挫した境内地約1500坪は中務氏(=ゼフィア)の所有と認め、残りの本堂などが建っている約2000坪についてはお寺側に名義は戻すものの、平岡氏は宗教法人代表を下り、別の者が代表に就き、中務氏の支援でやっていくという、実質、中務氏の乗っ取りをすべて正当化する条件だったことから、平岡容疑者は示談を拒否していた。
そのため、平岡容疑者は自分は逮捕されるだろうと本紙に語っていた。
読者は、そんなバカなことがあるはずがないと思われるだろう。
本紙とて、刑事事件になっている渦中、しかも民事不介入の警察が、あまつさえ本紙が黒幕と見ている者に圧倒的に有利な条件を持ち掛け、それを拒否したら逮捕するなど、本来はあり得ないことだし、あってはならないことだ。
だが、今回、大物の元検事の弁護士(ヤメ検)が乗り出すことで、そういう話になっていると語っていた。そして、そのヤメ検の名前も口にしていた。
ところで、平岡容疑者の逮捕容疑は2つ。
一つは、平岡容疑者が宗教法人正圓寺の代表に今年9月に就いたと前述したが、それが虚偽登記だったというもの。
もう一つは、お寺の銀行口座に預けられていた約2200万円を騙し取った詐欺容疑。公正証書が作成され、辻見住職(被告)が平岡容疑者に借金していたことになっているが、それは虚偽だとして辻見被告も共犯で再逮捕された。
だが、本紙が取材した関係者は、平岡容疑者の代表就任には総代も責任役員も合意しており問題ないし、辻見被告は実際に3000万円以上の借金をしていて公正証書は虚偽ではないと聞いているとのことだった。ただし宗教法人代表就任に当たっての議事録の記載が、総会は実際は電話で確認を取ったところお寺で開催されたことになっているなどの細かい「誤記」はあるが、弁護士も、そんな形式犯で逮捕は不当とのことだ。
これに比べれば、中務氏の疑義の方がはるかに重大だ。
ところが、大手マスコミは警察情報を鵜呑みにして報じる。その場合、例え誤認逮捕でもまず訴えられるリスクはないから尚更だ。
その点、本紙はすでに中務氏に4件提訴され、内3件は現在も係争中だ。
訴訟準備時間も、精神的プレッシャーも、そして経済的にも実に大変だ。
だが、それでも、警察まで敵に回しても報じるのは、平岡容疑者の証言だけでなく、不動産登記の内容、南野・西村被告の「エクシオコーポレーション」などとの時系列、「合意書」やお寺側と中務氏側との訴訟資料など検討すると、どう考えても不可解と思わざるを得ない点が多々あるからだ。また、中務氏の「ゼフィア」からお寺土地はさらに転売されているが、その合理的な理由もない。
何より、本紙は中務氏がお寺乗っ取りに関与している旨書いた記事につき、中務氏に記事削除の仮処分申し立てをされたが、大阪地裁は真実相当性を認めて記事削除を一切認めていないのだ。
そうである以上、警察発表を鵜呑みにした内容など報じられるわけがないではないか。
今後も適時、報じて行く。