アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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大阪府警、お寺の土地虚偽登記で3人逮捕――2人は、本紙との「お寺乗っ取り」疑惑の記事削除仮処分で敗訴した中務氏の“仲間”(下)

大手マスコミ報道の一部(関西テレビ放送)では、「正圓寺」の土地を巡る今回の逮捕、殊更、辻見覚彦住職を悪人のように報じる向きもある。
だが、今回、一緒に逮捕された南野潤二、西村浩両容疑者の方から、建設会社の差押えを逃れるために、この2人の影響下にある(後に2人が代表に)「エクシオコーポレーション」(大阪市中央区)に売買したように装いお寺所有の土地の所有権を移転させた(電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑)だけでなく、後で所有権を戻すといいながら、実際には第3者に転売し、この2人だけが儲けていると見られ、住職より悪質であることは間違いない。したがって、今後は南野・西村両容疑者は詐欺容疑で再逮捕されると本紙は見ている。
それに、確かに境内への特養建設に伴う資金繰り悪化が、お寺土地乗っ取り疑惑を招いたわけで、その責任は大きく、お寺関係者によれば、辻見住職は9月末で住職を辞め、お寺を出て行くことになっていたという(ところが、連日の事情聴取で手続きが遅れていた)。
「大阪府警(捜査2課)は、南野・西村両容疑者をまず電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕したのは、古西経治、中務稔也との、土地乗っ取りにおける共犯関係を固める狙いもあると思います。そもそも、古西・中務両氏を住職に紹介したのは南野ですし」(地元関係者)
(上)でも述べたように、中務稔也氏(下左側写真)は「ゼフィア」「ユニテックス」といった企業を率い、年商は総額130億円以上ある実業家。今回逮捕された南野・西村両容疑者、同じく事件屋と見られる古西氏とは社会的地位が異なるとの見方もある。
だが、後述するように中務氏は南野容疑者を介して、反社会勢力にも通じる西村容疑者とも懇意にしていた。また古西氏とは20年来の付き合いという。さらに、本紙で詐欺師と名指ししている奥平陸氏とも中務氏はタッグを組んでいた。本紙既報のように、示談になったので刑事責任こそ問われなかったが奥平氏による会社乗っ取りでは、そのトラブル中に、中務氏が奥平氏が乗っ取った会社を譲渡されており、示談成立後、中務氏はその会社を被害者に戻している。
また、(上)で述べたように、お寺はエクシオコーポレーションに、今回容疑のお寺横のお寺所有地だけでなく、建設会社に差押えを受けた境内地の一部も所有権移転していた。そして、その土地は古西氏が代表の「プロクスパートナーズ」→中務氏の「ゼフィア」に所有権移転している。中務氏は「善意の第3者」を主張しているが、府警は今回逮捕された南野・西村両容疑者だけでなく、古西、中務氏らのお寺側による告訴(詐欺容疑)も受理し捜査している。
さらに、本紙は中務氏のお寺乗っ取り疑惑を報じ、記事削除仮処分申立を受けたものの、大阪地裁はこれを認めなかった
2020年5月、お寺側と中務氏の間で「合意書」(横右側写真)が結ばれていた。その内容は、一言で言えば、前述の建設会社の差押え解除など借金返済(4億円程度。対するお寺土地の価値は約30億円)、南野・西村両容疑者、エクシオコーポレーションとの紛争の解決などする代わりに、お寺土地の所有権を無償で中務のゼフィアに移転、またお寺の宗教法人代表役員を辻見容疑者は下り(雇われ住職となる)、中務氏の指定する者が就くといったものだった。だが、その合意の大前提はお寺の再建だ。
ところが、中務氏はその合意を破り、ゼフィアへの所有権移転は正当な売買によるものだとして、南野・西村両容疑者同様に転売。なぜ、お寺再建のはずが、第3者に転売なのかとの本紙側の問いに、中務氏は合理的理由を述べられなかったからだ。
それどころか、今回逮捕された西村容疑者と、中務氏が協力関係にあるとの有力な証言も本紙は得ている。

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