筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。
珍しく紅白歌合戦をちらほら観ていたら(それにしても知らない歌手、曲ばかり)、あの伊藤蘭が特別ゲストなのか、往年のキャンディーズのヒット曲を歌ってみせた。68歳とは思えない若さと声量は大したもんだが、その設定された会場(本会場とは別)にこれまた往年のキャンディーズ親衛隊が150人以上参加していたのだ。ほとんどが60代のオヤジたちで(他人のことは言えないが)、「ランちゃ~ん」なんて声援上げているのは結構感動のシーンでありました。
ところでキャンディーズで思い出したことがある。後楽園の解散コンサートが1978年4月4日。その翌週だったか日テレで、今も続いている日曜深夜のドキュメント番組が、この解散コンサートに詰めかけた若者にスポットを当て、もう一方で3月26日に起きた成田空港管制塔占拠闘争と比較してみせたのだ。成田とキャンディーズ、それぞれに燃えた若者がいた、という今では考えられない発想だな。
作り手の意図としては、キャンディーズ解散コンサートに行くような若者は、三里塚闘争とか社会への関心はないだろうし、闘争に参加する若者はキャンディーズ解散なんかに全く興味ないだろうなんて思い込みがあったようだ。しかしそれはマスコミの典型的な分析パターンだ(学生運動に関心のある学生は麻雀やパチンコに夢中とかね)。はっきり言って当時もその後も、闘争しながらアイドルに夢中って若者もそれなりにいたんだよ(自分もか?)。