アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

VS能勢元(公認会計士)氏訴訟――本紙・山岡の「陳述書(最終)」公開

 いよいよ、能勢元・公認会計士(冒頭左写真)との訴訟の一審判決の日(2月21日午後1時15分より)が近づいて来た。
能勢氏はただの公認会計士ではない。
「東京フィナンシャル・アドバイザーズ」(東京都千代田区。冒頭右写真=自民党本部横の入居ビル)の代表として、数多くの上場企業の増資や株式交換によるM&Aの際の株価算定を主業としているのだから、不正どころか、そのことに関して疑惑さえもあってはならないはず。
ところが、数々の疑惑があることから本紙で報じたら、事実無根だとして記事削除の仮処分に続き、損害賠償請求訴訟も提起された。
しかも、証人尋問直後、能勢氏は本紙・山岡に対し話がしたいと申し出、地裁近くの日比谷公園まで2人だけで歩いたが、その際、これまで本紙の記事を完全否定していたにも拘わらず、示談を申し出、挙句、こちらの裁判費用を負担してもいい旨まで言って来たのは本紙既報の通り
だが、そんな不可解な出来事を裁判官は知らない。
そこで2月5日付で本紙・山岡は「陳述書(最終)」を出した。
その際、東京フィナンシャルが株価算定した増資引受をしたこともある海外の匿名ファンド「White Knight Investment Limited」(ホワイト ナイト インベストメント リミテッド)の能勢氏は実質オーナー疑惑など5点の争点に関して、これまでの主張をまとめた。能勢氏が実質オーナーなら、自分で株価算定し、自分がその価格で引き受けるのだから利益相反もいいところで公認会計士としてアウトであることは言うまでもないだろう。
この一つを見ても、事の重大さがわかっていただけると思う。
 以下、その最終陳述書の全文。
なお、支障のある人物名などはイニシャルに留めた。
また、その性格上、これまでに提出した準備書面や証拠が数字などで示されているが、むろん読者にはそれが何を意味するか不明だし、ここでその書面内容を逐一示すことはできない。ただし、紹介したり、同じことに触れた本紙の過去記事はかなりあるので、その部分はクリックすればご覧いただけるようにした。
全体を通して見ていただければ、この最終陳述書で訴えたいことはおおよそわかっていただけると思う。

(1)証人尋問後の不可解な出来事
昨年12月14日にあった証人尋問で、M証人も認めているように、原告とM氏の共通の知人を介して、原告に会ってやってくれと連絡があり、証人尋問の2日前に原告とM氏は会っている。M氏は、裁判のことは何も話していないというが、証人尋問の直前に、それまで面識のない2人が会う必要は裁判の証人尋問のことしかあり得ず、極めて不可解なことと言わざるを得ない。
確かに、M氏は証人尋問において、陳述書の内容を否定することなく、今回訴訟の争点になっているのは①原告の関係先が証券取引等監視委員会(SESC)の強制捜査を受けた、②原告は海外ファンド「White Knight Investment Limited」(ホワイト ナイト インベストメント リミテッド)のオーナーの可能性が高い、③原告は相場操縦事件で有罪判決を受けたことがある「ワシントングループ」の河野博晶氏と親しい、④原告は詐欺で逮捕・起訴されたことのある広末哲也氏を仕事で使っている、⑤原告を批判する記事を書いたメディアや探偵を懐柔しているの5点であるところ、①②について証言してくれた。
しかしながら、証人尋問後、前出の共通の知人を介して、原告と被告との示談の仲介をM氏は頼まれたとして、被告が知る限りでも2、3度原告と会っている。
被告が言うには、M氏仲介で原告が言って来た示談内容は、②の件で、原告がオーナーと疑われるようなことをするなど、至らない点があったことを反省し、今後はそういう誤解を招くようなことはしないようにする旨の文書を入れるから、記事をすべて削除してくれれば訴訟を取り下げるというものだった。
だが、被告はその程度の内容で記事を削除したら、読者らにカネをもらって記事削除したと思われ、何らメリットはないとして12月24日までに示談することを断った。

そもそも、示談交渉をM氏に頼むこと自体、非弁行為と思うが、加えて、示談を断ると、M氏からは、今後、自分は原告との訴訟で被告には協力しない旨のメールが来ており、M氏はやはり原告側の意を受けて動いたと考えざるを得ない。
別紙1のように、証人尋問の直後、被告が法廷から出ると、原告が待っており、少し2人だけで歩こうとなり、近くの日比谷公園までの道すがら、原告の主張通り記事の5カ所が事実無根なら被告を敵視して当然だが、原告は被告に対し、その誹謗中傷記事を載せた被告アクセスジャーナルにはいい記事が載っている、一緒にコラボしないか、和解したい、挙句、これまでの被告の弁護士代を払う旨言って来たのだ。そして、M氏の示談の仲介が一方的に始まった。
これに対し、被告は何らやましいことはないから、示談を断った後の12月28日、前出の別紙1の記事を書いた。そして、同記事を見てもらえばわかるように、M氏は文句を言って来たのは、証人尋問前に原告と会った際に裁判の話をしたと誤解を受けるような内容なのでその部分を訂正してくれ(だが、それには理由がないので被告は訂正せず、そのM氏の言い分を載せただけに留めた)と言って来ただけで、原告が一緒に株の空売りで儲けよう旨のことまで言って来たと被告は報じているが、その点も含めM氏は記事削除を言って来ていない。そのことが被告の言い分(記事内容が)が真実であることを物語っている。
被告は一番にこうした証人尋問後の不可解な出来事を言うのは①争点になっている5点は、証拠不十分な点もあるがほぼ事実である、②裁判官は、公認会計士ともあろう社会的地位が高い者が、被告の報じる疑惑の数々をやるわけがないという予断を持っているかも知れないが、原告はそういう常識や倫理観を持っている者ではなく、だからこそ、注意を促す記事を書き、スラップ訴訟を仕掛けられているという本質に気づいていただきたいからだ。

(2)5つの争点の真実性について
①原告の関係先が証券取引等監視委員会(SESC)の強制捜査を受けた
 真実性に関しては、被告準備書面(1)の3、被告準備書面(2)の1①で主張して通りである。
その要点をいえば、原告が代表を務める「東京フィナンシャル・アドバイザーズ」(東京FA)が会計顧問を務め、また、増資やM&Aの際の株価算定をしていた、当時、上場していた「ソルガム・ジャパン・ホールディングス」(以下、ソルガム)なる会社と、その関係先に、SESCが2018年5月24日から数日間、強制調査に入ったことは当時、NHKでも報道されていて、原告も否定しようがない事実である。
問題は、その関係先に、原告事務所や自宅、その他の原告関係先も入っていたかどうかだ。
強制調査に入る以上、その理由(動機)は極めて重要だが、これに関しては、乙第1号証別紙証拠⑤の『FACTA』記事(横写真=この2018年7月号記事の相関図) のように、ソルガムは「アズシステム」なる会社を株式交換でM&A(買収)。2017年12月のことで、そのアズシステムの価値を原告は5億円と評価したが、実際はほぼ無価値で、ソルガムに大損害を与えるまさに犯罪に該当し得ることを原告は行ったからだ。
東京FAがそんなことをしたのは、ソルガムの当時、オーナーだった元山口組企業舎弟の池畑勝治氏と組んで、交換でアズシステムが手に入れたソルガム株を市場で売却すれば現金化出来儲けられるからと思われる(被告準備書面2の2頁)。実際、アズシステムが無価値だったことは、乙第2号証別紙資料⑦記載のように、ソルガムは2018年2月にこのアズシステムののれん代償却額として6億460万9000円の特別損失を計上していることから明らかである。
そして、前出・M氏(横左写真=同氏の「証人調書」より)は、このアズシステムをソルガムに紹介したA氏からその話を聞き、当時の監査法人に抗議の手紙を出した(横右写真)だけでなく、SESCのK調査官にA氏の音声録音を持って訴え、その後、K調査官から事情を聞かれ、その後、ほどなくSESCの強制調査があったこと、そのA氏から当時だけでなく、今回の訴訟提起以降に再度M氏はA氏に確認し、A氏はやはり当時、原告が強制調査を受けたと、乙第2号の陳述書、そして証人尋問でも同じことを明確に証言している。
被告はそれでもA氏の伝聞に過ぎないというが、冒頭(1)の不可解な一連の行動でもわかるように、原告は普通の公認会計士ではない。カネ儲けのためには、反社会勢力とも組む人物である。そして、メインのソルガム以外、SESCが強制調査の関係先を発表するわけもなく、また利益に浴した者が証言するわけもなく、それを証明するのは「悪魔の証明」とも言える。なお、乙第2号証別紙資料⑥のように、池畑氏はその後、在宅ながら起訴されており、SESCが池畑氏をターゲットにしていたことは間違いない。
以上の証拠などから、少なくとも信じるに足る理由がある。
なお、原告は被告の記事では、原告が強制調査を受けたのは「ウエディングドリーマーズ」という別会社の関係という。それは認めるが、この別会社のM&Aでもソルガムはやはり損失を被っているし、以上のような理由により、原告が強制調査を受けたと思われることに変わりはない。

②原告は海外ファンド「White Knight Investment Limited」(ホワイト ナイト インベストメント リミテッド)のオーナーの可能性が高い
この件については、被告準備書面(2)1②でも指摘した、ホワイト ナイトの常任代理人である「長谷さえ」氏を原告が紹介し、その長谷氏は原告の会社の社員で、原告が代表の東京FAと同じビルに事務所を構えていること。乙第3号証の、実際にホワイト ナイトに資金を入れたN氏の陳述書のように、その送金手続きで出て来たのは原告自身だけで、長谷さえ氏なる者の存在さえN氏は知らなかったこと。さらに乙第10号証のA”(前出のA氏とは別人なので”を付けた)氏の陳述書によれば、実際にはホワイト ナイトに関する手続きや営業などは長谷さえ氏ではなく、原告が広末哲也氏にやらせていたこと、さらにホワイト ナイトの代表である南谷猛氏も長谷氏同様、名義上だけで、南谷氏の代表印は原告が保有していると、一時、広末氏と一体の関係で仕事をしていたA”氏は述べているのだ。
日程が会わず、そのA”氏の証人尋問が出来なかったのはひじょうに残念だが、A”氏は控訴審でもチャンスがあれば証人に立つと言ってくれている。それは広末氏から金銭を詐取され、そんな者を使用する原告もとんでもないと思っているからだ。
 さらに、原告の証人尋問で、長谷氏の事務所は、原告が代表の東京FAと同じビルの6階にあるとするものの、その6階には原告の関係する弁護士や司法書士事務所などがあり、そこに長谷氏の事務所は同居し、事務所の表示も出しておらず、専用電話もない(横写真=能勢氏の「本人調書」より)ことが明らかになった。長谷氏は原告が代表の会計事務所の社員でもあり、これでは少なくとも原告がオーナーと思われても当然ではないか。
しかも、このホワイト ナイトに山口組が資金を入れており、そこの元組員も原告がホワイト ナイトのオーナーと言っていたと、前出・M氏が証言してくれている。ところが、M氏の反対尋問でその真偽につき原告側は一切触れなかった。無関係で不知と言いたいのかも知れないが、その際のM氏の証言にもあったように、なぜ、M氏のこの訴訟における陳述書が、その資金を入れたとする山口組事務所に届けられていたのか? そして、元組員がM氏になぜそんなことを陳述したと脅しとも取れる電話をしたことは、すなわち、その組がホワイト ナイトに資金を入れたこと、ホワイト ナイトのオーナーが原告であることを自白しているとの解釈も成り立つ。
陳述書を保有する者は極めて限られる。しかも(1)で述べたように、なぜ、そんな原告に取って極めて不利な証言をしたM氏と、原告はその証言の直前に会い、またその後、原告と被告の示談の仲介役に使ったのか?
いずれにしろ、本当に本紙報道が事実無根であり、原告は潔白というなら、こうした一連の行動をしたり、不可解なことが起こるわけがないではないか。

③原告は相場操縦事件で有罪判決を受けたことがある「ワシントングループ」の河野博晶氏と親しい
 この件については、被告準備書面(3)の(2)で述べているように、乙第3号証の前出・N氏の陳述書、その陳述書添付の別紙1のFAX文書(横写真)の送信者が河野氏当人であることなどからも、ホワイト ナイトにそもそも資金を入れようとしたのが河野氏であり、そのホワイト ナイトのオーナーは原告などのだから、2人が親しいことは明らかである。
さらにそのことを補足するのが、残念ながら証人尋問は認められなかったが、乙第11号証のように、そもそもN氏のホワイト ナイトへの投資を仲介したM氏の陳述書。何しろ、2016年12月28日、原告がオーナーのホワイト ナイトが引き受けたソルガムの増資分、計約12億円すべてが河野氏引き受け分であり、河野氏が相場操縦で逮捕された時期よりだいぶ後(別の上場企業株の相場操縦で、河野氏は2012年6月、懲役3年、執行猶予5年、罰金400万円、追徴金3億8000万円の有罪判決)のことなのだ。

④原告は詐欺で逮捕・起訴されたことのある広末哲也氏を仕事で使っている
この点も、被告準備書面(3)の(3)だけでなく、その際に広末氏と原告が仕事で連絡したり、会っていることを物語るライン記録などを提供してくれた前出・A”氏が、その後、陳述書を書いてくれ(乙第10号証)、そのなかで、広末氏が長谷氏の代わりにホワイト ナイトの件で書類手続きをしたり、営業していたことを証拠資料と共に述べてくれているのだから、このことが真実であることは明らかだ。
なお、この乙第10号証のA”氏陳述書は説明不足で意図が十分伝わっていない懸念がある。その点、被告アクセスジャーナルの追加記事で、広末氏が長谷氏の代わりにホワイト ナイトから顧客へ送金したことが間違いないことを、本訴訟で証拠提出した乙第10号証の3-2の振込明細書を転載するなどし詳しく解説しているので、それを別紙2として添付する。

⑤原告を批判する記事を書いたメディアや探偵を懐柔している
 この点については、被告準備書面(3)の(4)で、メディアに関しては具体的に指摘している。
それはネットメディア「O」(そこでの執筆名はH氏)のM”(前出のM氏とは別人)。M”氏は前出の原告にとっては極めて不都合な乙第1号証別紙証拠⑤の『FACTA』記事(=横写真。2018年7月号)を書いた当人である。ところが、その後、原告らと共に会社を立ち上げようとしたことは、乙第7号証のM””(前出の2人のM氏とは別人)氏陳述書とその添付別紙の証拠メールの通り。
なお、その関連で提出し忘れていたK”(前出K氏とは別人)氏の陳述書を別紙3として添付しておく。
これは本訴前の原告による記事削除仮処分申立の審尋の際に、被告が提出したもの。
そこに書かれているように、相手のM””氏自身が、少なくとも記事を削除したこと、そして原告とジャーナリストとネタ元との関係みたいになったことを認めているのだ。
なお、被告が懐柔している探偵とは、前出M”氏証言によれば、乙第7号証のM”氏陳述書の添付別紙の証拠メールに原告、M””氏と共に記載されているX氏のことであり、X氏は「Aアドバイザーズ」(大阪市中央区)という探偵事務所の代表で、大阪府警OBである。

以上、述べたように、原告の名誉棄損と主張する5つの指摘箇所は、基本的にすべて真実ないし真実足るものであり、公益性もあり、名誉棄損に当たらない。
それ故、原告は焦り、(1)で述べた不可解な行動を取ったと思われる。
公認会計士=社会的地位の高い者=悪いことをするわけがないという一般常識は原告に当てはまらないことを、繰り返し、最後に述べておく。
以上

関連キーワード
検索

カテゴリ一覧