「ワイエスフード」(3358。福岡県田川郡香春町)という東証スタンダード上場企業がある。
筑豊ラーメン店舗「山小屋」「ばさらか」を九州地区で展開しており、10数億円の売上があるが、この間のコロナ禍で業績は芳しくない。
このワイエスフードの新たな大株主に9月22日、「江川源」氏なる者が登場した。1億6475万円で16・47%所有したという。
ワイエスフードのIRを見ると、その前日の9月21日、別の株主が、ワイエスフードは5億円以上の十分な現預金を有しているにも拘わらず事業収益に繋がる策を取ってないとして、創業家出身で社長の緒方正憲氏(下写真)を除いた5人の取締役解任と、同株主が推す新たな8名の取締役就任を提案し、臨時株主総会の招集請求をしていることがわかる。
結論を先にいえば、この株主はワイエスフードの“乗っ取り”を画策しており、そして今回大株主に登場した江川氏もこの動きと連携しているようだ。
では、実際にこの乗っ取りを仕掛けているのは誰かといえば、21年、わが国経済安保上からも注目を集めた「東京機械製作所」(6335。東証スタンダード)の乗っ取りを仕掛けた投資会社「アジア開発キャピタル」(9318。東証スタンダード)の裏にいると一部報道があった中国人を中心とした仕手連合と共通した人脈と思われる。
ここで少しおさらいをしておく。
アクセスジャーナル本編も含め、本紙でアジア開発を取り上げたのは、アンセムウォン氏から、木内孝胤氏に社長が交代した今年7月が最後。だが、翌8月には木内氏は辞任。代わって孫田夫氏という中国人が社長に就いているが、この孫氏は19年、「グローム・ホールディング」(8935。東証プライム)の社外取締役に就いていた。そして、そのグロームと共に、実質、「許振東」氏なる中国人がオーナーと見られるのが「アジアゲートホールディングス」(1783。東証スタンダード)。
江川氏は、現在もこのグロームの4・2%、そしてアジアゲートの2・8%(元妻でも1・4%)の大株主なのだ。
それに、未だアジア開発の取締役のなかには「徐天雄」なる中国人がいるが、彼が「北京北大青鳥」(香港上場)の現在も副総裁の息子で、許氏が同社を傘下に置く中国国有持ち株会社「北大青鳥集団」(中国・北京)の幹部だったことも、東京機械乗っ取り騒動につき報じたアクセスジャーナル本編で既報の通り。
さらに江川氏は「P&C」(東京都品川区)なる会社代表だが、まったく同じ住所にある「復華ジャパン」の代表でもあるのだ。おまけに、江川氏はアジア開発の新株予約権を21年2月26日、割り当てられ行使したこともあった(アジア開発の21年4月12日IR「第14回新株予約権の行使状況について」に記載あり)。
しかも、今回、筆者がワイエスフードの乗っ取りに中国人仕手連合が関わっていると見る根拠は、江川氏以外にもある。