新聞輪転機メーカー「東京機械製作所」(6335。東証1部。東京都港区)に対し、「アジア開発キャピタル」(9318。東証2部。東京都港区)とその子会社「アジアインベストメント」(住所はアジア開発と同)が経営権取得を仕掛けて来ていることは本紙でも既報の通り。
両社による東京機械株の取得割合はすでに38・27%。もっとも、自己資金はゼロで、そのほとんどはアジア開発の子会社「ワンアジア証券」を通じた信用取引だ(借入金額は約271億円)。
本紙がこの記事タイトルで、仕掛ける側を“中国人仕手連合”としたのは、アジア開発の社長アンセム・ウォン氏はマレーシアの華僑であり、役員も2人は中国人。さらに、その背後には本紙で何度も取り上げている許振東氏なる疑惑の中国人がいる。一方、大株主は香港上場のサンフンカイグループの関係会社。そして、後述するが、許振東氏が関与しているということは、彼の過去の行為から見て、東京機械も主張するようにこの経営権取得は「不適切な者」によってなされているとしか思えないからだ。
そもそも、上場しているとはいえアジア開発からして残念ながらまともとは言い難い。本紙は8月26日、このアジア開発が今年8月、自己破産申請した企業と循環取引(架空取引)を行い、その架空取引分を取り消すと、アジア開発の19年3月期売上高(連結)の実に約7割が架空だったために約16億3000万円が一挙に約5億1800万円に激減することを報じている。そんな会社なのだ。
そんなこともあってではないか、東京機械側は徹底防戦の構えだ。
8月30日、既存株主に新株予約権を無償で割り当てる方針で、それを10月下旬に臨時株主総会を開催し諮るとIRした。
これに対し、アジア開発は9月1日までにこの買収防衛措置は不当だとして東京地裁に差し止め請求を行う意向を表明。また、東京機械が8月30日にIRした子会社所有の土地売却、希望退職者を募集し特別退職金を支給するとしたのは、東京機械の資産価値を下げ買収意欲低下を狙う不当なものだとの見方を示し、これに対する回答を求める文書を9月2日に出したことを同日IRしている(東京機械側はこの見方に対し、「全くの事実誤認に基づく言いがかり」と主張)。
(上右写真=東京機械の株価チャート)