筆者・中井仲蔵(コラムニスト)。『アクセスジャーナル』読者の皆さん、初めまして! コラムニストの中井仲蔵と申します。普段は某中小企業に務めつつ、ちょこちょこ変名で雑誌やウエブ媒体に駄文を寄せているケチな野郎ですが、以後、お見知りおきをお願いいたします。さて、見切り発車で始めたこの連載では、あまり話題にならなかったニュースを拾い起こし、当事者の発言をあげつらってみようかと思います。一応、月2回を目処にしています。
アクセスジャーナルの読者の皆さん、こんにちは!
さて皆さんは、『ウエストランド』(下右写真)の漫才ネタに、「漫画」というのがあるのをご存じでしょうか。
ウエストランドといえば、ツッコミが社会への不満を少し僻みっぽい視線でまくしたてるというスタイルで知られている人気漫才師ですが、このネタで槍玉に挙げられているのが、少年漫画――特に、熱いバトルを売りにする作品群です。
ウエストランドいわく、『ワンピース』から『鬼滅の刃』まで、最近の少年漫画の裏テーマは「血筋がすべて」だそうです。何でも、単行本の10巻目くらいに主人公の親が出て来る傾向があるそうで、その親というのが揃いも揃って主人公と同等か、それ以上の才能の持ち主なんだとか。「努力のすえに巨大な敵を倒す」というのが少年漫画の王道と思いきや、「でも最後に物をいうのは親から受け継いだ資質」で勝っちゃうというのです。
この漫才はウエストランドの公式ユーチューブチャンネルに上がっていますので、詳しい内容はそちらをご覧ください。ぼくもゲラゲラ笑って見てたのですが、見ているうちに、少年漫画に隠されたさらなる裏テーマをもう一つ発見してしまいました。
それは、かなりの確率で主人公が「バカ」なことです。
個別の作品名を挙げるといろいろ叱られそうな気がするので割愛しますが、最近読んだ漫画の中で、主人公の仲間やライバルが「あいつはただのバカじゃないわ。すごいバカよ」と言ったり、また主人公自身が「俺はバカだから難しいことは分からないが」と前置きしてから核心を突くセリフを吐く……というシーンを、何度も見た記憶があります。たいていの場合、主人公は直感的に正しい道を選んだりしてるので、本当に頭が悪いわけではないのですが、最近の少年漫画の主人公は確信犯的に知性を否定し、またそれが称賛されるべき姿という演出もチラホラ見られるのです。
この「反知性主義」は、昔の漫画じゃあまり見られませんでした。『ドラえもん』ののび太くんのように、勉強できない子が主人公の漫画は星の数ほどありますが、バカは決して褒められることではないと登場人物も読者も思っていたものです。
ところが最近の風潮では、漫画の主人公たちは、血筋とバカを武器に勝利を得る傾向があります。もちろんそれだけでは勝てないので、友情に厚い仲間の存在も無視できません。言い換えれば、今ドキの少年漫画では、「(1)血筋がよくて、(2)反知性主義で、(3)友情に厚い」主人公が流行している、といえそうです。
では、現実世界でそのような人はいないものでしょうか。
この(1)~(3)の条件が当てはまる人といえば即、安倍晋三氏(冒頭写真)が思い浮かびました。いうまでもなく前首相で、すでに辞めることが確定した(総裁選に出馬せず)菅義偉首相に首相の座を禅譲し、「コロナ禍」などの汚れ仕事を押し付け、裏で再々登板を狙っている方です。