「テラ」(2191。JQ)は12月13日、特別損失などに関するお知らせをIRした(冒頭左写真)。
詳細は同IRをご覧いただきたいが、簡単に言い切ってしまえば、テラは「CESデカルト」(以下、デカルト社略。東京都文京区。山口佳子代表)という新型医療機器の研究・開発・販売などを行う会社の株券を1億5300万円の価値があると見て債権の相殺で手に入れていた。
デカルト社は新型コロナの肺炎画像解析AIプログラムの医療機器製造販売、また、乳がんにおける診断補助システムに関するプログラムでも、厚労省から承認を受けていて、今後、同社は大幅な増収増益を見込めるということで、業務提携を検討していたからだ。
ところが、蓋を開けてみたら、同社は債務超過の上、それを回避する目処が立たないことが判明したので、この1億5300万円分につき丸まる特別損失に計上することとしたという。
有体にいえば、デカルト社側にすっかり騙されて大損害を被ったわけだ。
そのデカルト社の裏にいたのが、山口敏夫氏(=冒頭右写真。81)だった。
そう、衆議院議員を10期務め、中曽根内閣で労働大臣を務めたことも。二信組事件で07年、塀の中に落ちるも、16年の都知事選に立候補(落選)して森喜朗元首相の批判を行い、久々に元気であることを印象づけた。
デカルト社の代表は、この山口氏の妻なのだ。
それにしても、なぜ、この時期にわざわざ特別損失計上かと思いきや、本紙はこのデカルト社が11月15日付で東京地裁に第三者破産申し立てされている事実を掴んだ。
債権者は今年6月2日、10日後に返済の約束でデカルト社に2500万円を貸したが返済がない上、このデカルト社は20年9月期において6900万円の債務超過で支払い不能と推定できるからという。
これだけ聞けば、大臣まで務めた元代議士が裏にいるとはいえ、よくある零細企業の倒産に過ぎないと思われるかも知れない。
だが、実はこの破産処理を通じて、ソーシャルレンディング(SL)の闇の一部が暴かれるのではないかと期待する向きもあるのだ。
そう、東京地検特捜部は「テクノシステム」から入り、12月28日には遠山清彦元衆議院議員ら4人(牧厚も)を貸金業法違反で在宅起訴したが、特捜部の最終的な狙いは「大樹総研」の矢島義也氏とも見られている。そして、山口氏はこの矢島氏とも深い関係にあるからだ。