
本紙で徹底追及している、未公開株詐欺事件で懲役5年6カ月の実刑判決を受け、現在、東北のY刑務所で服役中の青山清利服役囚(冒頭左写真。51)。
その青山服役囚が、貴金属、ブランド品、骨董品などの大手買取専門店「買取大吉」のオーナーでまず間違いないことが、ある民事訴訟において浮上したことは本紙既報の通り。
以前から、青山服役囚が経営に関係していることは本紙も知っていたが、オーナーと見られるのは本紙もさすがに驚いた。
それはともかく、闇金経営、会社乗っ取りなど裏稼業をして来た青山服役囚がなぜ表企業を経営し、それが「買取大吉」なのか?
ちなみに、売上高は今や約810億円(24年9月期。運営会社「エンパワー」=東京都新宿区=の業績。2010年10月設立。このエンパワーの100%株主が「大吉」=同住所=)で、業界1位との評も。
本紙で青山服役囚のことを初めて報じたのは2009年10月。上場していた経営不振の「トランスデジタル」、「タスコシステム」、「春日電機」などに高利で貸し付け、担保に取った同社株を勝手に売り払うなど好き勝手していたのだが、その貸付資金はどこから来ていたのか?
当時を知る関係者が証言する。
「全国の主要都市の駅前に、日当1万円ほどでサンドイッチマンを立たせ(右写真はイメージ)、クレジットカードのショッピング枠を現金化する商売をしていたんです。
サンドイッチマンのプラカードに書かれた電話番号にかかって来たら、ブランドもののバックなど買わせ、それをすぐ格安で買い取る。今は完全にアウトですが、当時はグレーゾーンだった実質、闇金です」
しかも、そのプラカードには大きく経営会社の名が記されており、それは何と「大吉」だったという。
「青山だって、いずれこの商売ができなくなることを見越して、先行してやっていた『おたからや』などの存在を見て、これをマネてやろうと。高値で現金化し易いブランド物など買い取るという内容は、同じですからね」(同)
むろん、一方は違法、もう一方は合法と法律的にはまったく別物だが、全国的に展開していたので、かなりの年数をかけて合法的な買い取りに移行。ただし、以前の「大吉」の名は引継ぎ、店名を「買取大吉」としたと思われる。
では、反社会的組織との関係はどうなのか?
本紙では2009年10月の記事でも、最後に「暴力団の影も見え隠れする」と記していたし、2023年3月には、実際に、青山服役囚に融資を受け、騙された、春日電機社長(当時)に登場してもらい、当時、知り合いが横浜駅近くのエレベータで転倒させられ重傷を負った事件で、転倒とは聞いていないが、監禁され傷害を負ったと聞いているとの証言を紹介している。
その際、当局筋の話として、具体的な組の名前をイニシャルながら報じていたが、今回、新たな情報が入って来て、少なくとも関係があったことは間違いないことが判明した。
すでに解散しているが、かつて神奈川県川崎市に「I商事」(左写真はかつての入居ビル)という会社があった。表向きは販売促進に関する冊子を出している会社だったが、その実態は関東の指定暴力団系有力組織のダミー会社で、ショバ代(みかじめ料)を取る会社だった。
表向きは、そこの雑誌への広告代として。だが、実際には広告としての役目は果していなかったという。
その会社代表などには、その有力組織のトップと同じ姓の者が2人就く(親族と思われる)などしていた。また、このI商事の社名は、その有力組織の2人の有力3次団体組長の名前を1文字ずつを付けていた。関係者の証言通りで、このI商事がいわゆる企業舎弟だったことは間違いない。
そして、このI商事に長年に渡り、青山服役囚は年間1000万円ほど払っていたことを本紙は掴んだ(I商事は2016年解散)。
別の関係者が言う。
「I商事と青山との間では、関西では宣伝をするなとの取り決めがあった。山口組との関係があるから。ところが、青山は黙ってやっていたことが明らかになりトラブルに。それでケツ持ち(有事の際の後始末など)を打ち切った。時期? クレジットカードの現金化商売をスパっと止め、買取大吉の新商売を始めたわけではなく、現金化商売を少しずつ減らしつつ、買取大吉の店舗を増やすという、両方併存の移行時期が長いから、今から10年前よりもっと最近まで付き合いはあったと聞いているよ。山口組の方ともつきあっていたとも聞いている」。
また、そういう経緯で移行したこと、そして青山服役囚の体質から、先行する買取大手「おたからや」の商売のやり方を盗んだり、社員を引き抜いたり、営業妨害をするのは当然の成り行きだったとも見るのだが……。



