
本紙は過去の因縁から、現在も未公開株詐欺事件で服役中の青山清利(51。冒頭左写真)の動向に注目し、定期的に裁判情報をチェックしている。
そうしたところ、青山を被告とする損害賠償請求事件の第1回弁論が東京地裁であることがわかり、7月16日(水)午後1時15分から傍聴して来た。
なお、この民事訴訟(閲覧制限あり)、法廷前に貼られた「開廷表」(冒頭右写真)に被告の名前は出ていなかった。だが、東京地裁1階ロビー守衛ボックスにある、その日に審理される事件の時間や法廷番号が記載されている「開廷表」の方には、青山の名前が載っていた。
閲覧制限のため、裁判資料を閲覧することもできないので、第1回弁論時に傍聴すればこの事件の概要がわかると思ったのだが、結論をいえば、わずか15分程度の事務手続きだけだった。
だが、そこでの会話内容から、中国のファンドが買取専門店「買取大吉」(売上高は23年9月期で約465億円。運営会社は「エンパワー」=東京都新宿区=で、このエンパワーの100%株主は「大吉」=同=)を買収しようとしたが、うまくいかず、仲介会社が中国側ファンドに賠償を求められている模様だが、仲介会社は買収がうまくいかなったのは大吉側に責任があるとして賠償を求めているようだ。
そこで重大な疑問に突き当たる。
大吉も、エンパワーも代表取締役は増井俊介氏。青山は役員ですらない。それなのに、なぜ、青山が被告なのか?
ただし、増井氏は青山と以前在籍した「光通信」時代に面識がある。また、本紙は青山が服役前、大吉の経営会議に出ていたとの証言を得ており、青山が大吉と深い関係があることは事実。さらにいえば、青山が大吉のオーナー(100%株主)との見方は以前から噂されてはいた。
2018年2月、実質上経営者だった青山が「ACS」なるコンサル会社の脱税事件で逮捕された際にもそういう噂が出たが、増井社長は業界紙の取材に応じ、「エンパワーの株式は、100%私が保有しており、そんな事実は一切ありません」と完全否定していた。
では、なぜ、繰り返すが、被告が青山なのか?
今回、傍聴した限りでは、その疑問を解く発言は一切出なかった。(左横写真=前出の増井社長)
だが、買収交渉があった以上、買収はいうまでもなく大吉とエンパワーの株を買うことを意味するのだから、その株主が誰かは基本中の基本。それを間違えるわけがない。そして、今回の被告が青山ということは、青山が100%株主と考えるのが最も合理的ではないだろうか。
「実は昨年4月ごろに、買収の話を聞いていました。買収額は210億円と言っていました。青山がオーナー(100%株主)と私も思ってはいました。増井は名義上に過ぎないと。しかし、実刑が確定(昨年春ごろの模様)した以上、さすがに株を別の者に譲渡していると思っていました。今回の買収のトラブル案件が服役前か後か不明とのことですが、青山は詐欺師で人を平気で騙すから、他人を信じられるわけがない。だから、どちらにしろ、株を譲渡していない可能性大でしょう」(ライバル会社代表)
この誰が大吉の株主かの問題、現在も(服役後も)青山が株主で、それが表面化すれば、買取大吉にとってはまさに死活問題。
なぜなら、その経営には古物商販売許可が必須だが、前科が付けば医者や弁護士資格同様、その許可は取り消しに。結果、営業できなくなるからだ。しかも、すでに青山が服役して1年以上経っており、その間、騙して営業していたことになる。
また、この件が明らかになれば、CM撤退どころか、取引先、FC店も甚大な被害を被り、大吉側への提訴が相次ぐことも考えられるからだ。
今回の傍聴において、「エンパワーとアイベックスライフと契約があったことを認めるのか?」、「信用状況、財政状況にも違反するか?」旨の発言があった。
それを手がかりとすると、あくまで推測だが、買収交渉の渦中、あの事件が起き、それでトラブルになった可能性もある。
「アイベックスライフ」(神奈川県横浜市都筑区)というのは、エンパワーと買取大吉のFC契約を結んでいた会社。ところが、昨年12月、その「買取大吉 エスコープかすや店」(福岡県粕谷町)で、社員が当時77歳の女性が査定のために持って来た10数点のなかから指輪、ブローチなど3点(時価約28万円)を盗んだ窃盗容疑で逮捕された件。実行は昨年5月のことで、社員は他の買取店に盗んだ商品を持ち込み換金しようとしたが、高齢女性は複数の店で査定しており、その査定した店に店員が持ち込んだことから、不審に思い、その店側が警察に通報し発覚したという。
ということは、今回の買収交渉のトラブル、青山服役後のこととなり、それでなくても服役囚と交渉(当然、代理人を通じてだろう)というリスクに、さらに買収会社の信用失墜行為が重なれば、前出の「信用状況、財政状況にも違反するか?」旨の発言が法廷で飛び出すのも無理ないのではないか?
ついでに報告しておくと、この買取大吉(=青山)側が、ライバル会社「おたからや」(経営は「いーふらん」。神奈川県横浜市)に仕掛けたと見られる匿名サイトでの誹謗中傷につき、名誉棄損、偽計業務妨害で神奈川県警に告訴、受理になっていた件だが、次々とサーバーを、それも海外サーバーを変えることから、結局、犯人の特定困難ということで事件にはならなかったという。
「おたからやは今年4月から、イメージキャラクターにお笑い芸人のダチョウ倶楽部とキンタローを起用しましたが、これに対しても、『ダチョウ倶楽部の大ファンだが、問題多いおたからやに出るのは止めて』旨の匿名の書き込みが新たに出ています」(業界関係者)
こうした陰湿なヤリ口も、誤解を恐れずに言えば、買取大吉=詐欺師で犯罪常習者と言ってもいい青山がオーナーならあり得ることだろう。



