本紙はついに決定的な情報を得た。
公益通報者に対し、東京都の担当課長が、「2月8日は受講していませんでした」と口頭で回答していたことを取材の結果、確認したからだ。
本紙が、わが国の不動産行政にも影響力を及ぼす全国組織の公益財団法人「全日本不動産協会」(以下、全日略。東京都千代田区。下左写真は本部ビル。正会員約3万5000社)トップ、中村裕昌代表理事(冒頭写真)の疑惑を初めて取り上げたのが今年8月16日。
総本部の理事に関しては、その職業柄、今期(2023年度)から宅地建物取引士証(宅建士証。下右写真は見本)を持っていないといけないことになっている。
そのため、保有状況につき事前調査したところ、中村理事長は2019年2月8日に法定講習を受け、同日、宅建士証を更新したことになっているが、実際にはこの日、別の場所にいたことが判明。つまり、不正に取得した疑惑が浮上していた。
そして、2月14日には法定講習を代行する東京都に公益通報されていたことも報じた。また、8月30日の第2弾では、全日の東京本部が職員に聞き取り調査したところ、当時、事務局長だった「荒木」氏が、法定講習の受講なしに宅建士証を交付させていたとの報告書を出していたことが明らかに。
さらに9月14日の第3弾では、法定講習受講の2月8日、中村理事長は全日城南支部の法定研修会に出席。その様子が、世田谷支部の公式ブログに掲載されていたとスッパ抜いていた。
その上で、本紙は中村理事長に取材申し込みの手紙を出したが、中村氏は何と受け取り拒否。そうしたなか、この疑惑、10月3日発売の『サンデー毎日』(10月15・22日合併号)でも報じられることに。
それから約1カ月経つが、冒頭に記したように、2月14日に公益通報された東京都が調査した結果、中村理事長に交付された宅建士証の交付日は2月8日となっているが、都の担当課長が公益通報者に対し、「2月8日には受講していない」と回答していたことを本紙は確認した。
断っておくが、受講日=交付日のはず。したがって、同日に受講していないということは、同日日付の宅建士証は存在するわけがない。存在するとすれば、それは「偽物」(偽造)ということになる。
そして、そうである以上、中村理事長は宅建士証を持っていないのだから、全日理事も理事長(今年6月就任)もなる資格はなく、即刻、辞任すべきということになる。
しかも、この不正交付が事実なら、公文書偽造罪、ないし公正証書等不実記載罪に抵触し得、前者に問われた場合、法定刑は最大懲役10年の重罪だ。