本当に今ごろの報告で申し訳ないが、去る2月5日に投開票された山口県下関市の市議選の結果を報告する。
なぜ、こんなに遅れても報告するかというと、この結果は、すでに4月23日に投開票が決まった、安倍晋三元首相の死去に伴う山口4区補選と共に、次期衆議院選挙の候補者選びに大きな影響を及ぼすからだ。
本紙でも既報のように、山口県は一票の格差是正のため、すでに衆議院議員の定数はこれまでの4から3に減ることが決まっている。
そして、従来は下関市を含む新3区からは安倍氏、新1区から林芳正外相が出馬すると見られていた。だが、そもそも林氏の地元も下関市で、父・林義郎元蔵相は、安倍氏の父・安倍晋太郎元外相と中選挙区時代は仲良く出馬し共に当選を重ねていたが、小選挙区になって林氏が譲ったという経緯もあったことから、安倍氏が死去していなくなった以上、隙あらば、林氏は新3区から出るのではないかとの観測が以前からあった。
それを阻止すべく、ポスト安倍としてもっとも集票力がある安倍昭恵夫人が4区補選→新3区出馬説が有力視されていたが、結果は、4区補選に昭恵夫人は出ず、吉田真次市議が出ることが決まっている(2月10日に自民党公認決定も、スキャンダルの火種も)。
とはいえ、吉田氏はわずか3期目の市議経験だけに、首相を狙う林氏の敵ではない。後は、下関選挙区で林派が勢いを増し、吉田氏が4区補選で苦戦すれば、自民党としても新4区で林氏公認の可能性も……。
その下関市議選の結果だが、まず、前回の4区衆議院選挙で、安倍氏と争って、安倍氏約8万票に対し約2万票獲得した、れいわ新選組の竹村克司氏(介護事務所経営、プロレスラー)が、同じくれいわ公認で出て当選した。1789票で、定数34人のところ23番目だった。(冒頭写真=1月31日、応援に下関入りした山本太郎代表と竹村氏)
一方、安倍派と林派だが、そもそも前回から下関市議は林派11人、安倍派9人と林派の方が多かったが、今回林派は現職全員に新人2人が当選。これに対し、安倍派は現職2人が落選し新人も1人当選しただけで、林派躍進、安倍派退潮は明らかだ。
「この結果、下関市議会の正副議長とも林派が占めました」(地元事情通)。
そもそも、林派は、ポスト安倍の吉田氏につき4区補選で公認を認めただけで、新3区の衆議院選挙候補は4区補選後に考えるとしている。この状況では、4区補選で吉田氏が振るわなければ本当に林氏が下関市を含む新3区から出る可能性が高まって来たともいえるのではないか。