IKKOのCMでお馴染みの金・ジュエリー・ブランドバッグなどの買取大手「買取大吉」(運営会社は「エンパワー」。東京都新宿区。増井俊介代表=下左側写真)――そのオーナー(エンパワーの親会社「大吉」100%株主)が、未公開株詐欺で服役中の青山清利(下右側写真。懲役5年半の実刑)ではないかと本紙が最初に問題提起したのは今年7月17日のことだった。その時はあくまで疑義があるとの体だったが、間違いないと報じたのは9月9日。
それに加え、指定暴力団との密接交際ぶりまで報じられ(8月26日)ては、青山服役囚にとっては大打撃で、その事実が広く知れ渡る前にと、買取大吉の売却交渉を急いでいる模様だ。
それは無理もないだろう。
広く知れ渡れば、足元を見られ、売却価格を低くされる。
それより何より、この商売は古物商の許可がいるが、犯罪者がオーナーとなれば、それに抵触し、商売が出来なくなる可能性も。多数出しているCM(冒頭写真の左上に記載)もストップしかねない。また、オーナーが元実質闇金屋で、詐欺で服役中と聞いて社員もフランチャイズ店(買取大吉の店舗は直営約2、FC約8の比率)もやる気が出るだろうか!?
こうした危機感、懸念は本紙の独断ではない。
本紙が青山服役囚が買取大吉のオーナーではないかと思ったのは、7月17日に報じたように、買取大吉を買収しようとした会社が、売却相手である青山服役囚を提訴した裁判の存在を知ったことが契機だが、その被告・青山はこの裁判につき閲覧制限を申請。
伝え聞くに、青山服役囚側が出したその申立書には「被告は現在○○刑務所で服役中」、「真の株主が被告であることが漏洩した場合、企業価値が致命的に毀損されるのは必至」旨が記載されているというのだから。
こうしたなか、青山服役囚並びにエンパワーは、本当に青山服役囚が買取大吉のオーナーかとの問い合わせに備え、エンパワー同様、大吉株も名義上エンパワーないし増井氏などに移し、「アクセスジャーナルの報道は虚偽」と言って誤魔化す算段をしているとも。しかし、未だエンパワー側から本紙に何ら通知も訴訟提起もない。そもそも、本紙は少なくとも昨年12月1日時点で、大吉株式の譲渡契約書が結ばれ、その売主が青山服役囚であることを確認しているから文句を言えないし、もし提訴して来たら完全にスラップ(嫌がらせ)訴訟だ。
その上、青山服役囚は買取大吉売却を急いでいる模様と冒頭で述べたが、それ自体、なかなか難しい状況にあることがわかった。
なぜなら、売却が上手くいったとして、逆に買収した方が大きな痛手を被り得るからだ。以下、なぜそんなことになるのか解説する。(*以下に、青山服役囚が買取大吉のオーナーであることを物語る重要文書転載)

横に掲げたのは、今年8月25日、中国ファンドがエンパワーの増井社長に出したものだ。
その「8」を見ていただきたい。
「乙又はE社から7の請求に対して弊社に対して何らの対応がなき場合」は、この中国ファンドは、中国国内又は日本国内で訴訟提起することもあると通知しているのだ。
そして、この相手「乙」とは青山、E社はエンパワーを指す。
なぜか?
すでに9月9日記事で述べているように、A社と青山服役囚は昨年12月1日、買取大吉のオーナーである青山服役囚が100%保有する大吉株すべてをA社が約377億円で買い取る契約を結んだ。
ところが、その3日後に買取大吉の店舗で社員が、鑑定に来た老女の品物を窃盗した件で逮捕されたとの報道(右下写真)が。
そこでA社がエンパワー及び青山服役囚に責任体制等を問い質したところ、「こんなことは大した問題ではない」旨の返事。そのため、コンプライアンス体制に不安を感じたA社が支払い時期の延期を申請するが、2度目の延期を青山は拒否。逆に期限内に支払いがなかったとして、青山はA社に対し37億円以上の違約金を請求。これに激怒したA社は、逆に青山服役囚に9億3000万円の損害賠償請求をしているのが、この東京地裁の訴訟(令和7年ワ第10419号)だ。
それは無理もない。
A社はA社で、中国ファンド側から、投資の機会を失ったとして、46億円もの損害賠償請求訴訟を今年2月18日に提起されていたのだ(A社の青山に対する訴訟の訴状提出日付は今年4月21日)。
中国ファンド側にすれば、A社を介して買取大吉買収のため、買収後の分を含め460億円の資金を調達。そのため相当の経費をかけ準備したのに、それが無駄になったからだ。
だが、中国ファンド側も、その責任はA社だけでなく、窃盗事件がありながら「大したことがない」旨いい、支払い期限の延長を認めなかった買取大吉側に強い怒りを持っている。そのため、本紙に連絡して来て、今もA社と青山服役囚の訴訟には閲覧制限が付いているが、本紙はこの訴訟の全貌を把握することが出来て、9月9日記事で買取大吉のオーナーは青山服役囚と断定出来たわけだ。
そういう経緯故、先の手紙の文言の解説に戻ると、中国ファンドはA社に46億円の損害賠償請求しているが、平たく言えば、A社がその46億円を支払うことが出来なかった場合、青山服役囚とエンパワーにも請求。支払わなかった場合、提訴すると通知しているのだ。
そうすると、売却を急ぐ青山氏の口車に乗って買収しても、その後、子会社エンパワーに最大46億円請求されるリスクがあるわけだ。
「うちとしては、青山が再延長のお願いを断れる立場になかったという認識です。青山は1つのフランチャイズの店舗の1社員の窃盗事件に過ぎないというが、詐欺で服役するような青山がオーナーだから、コンプライアンスをキチンとやっておらず、そのために起きた事件ともいえるのでは。それも契約から3日後に表面化したのだから、体制見直しの十分な期間延長を受け入れて当然。今後の訴訟の行方次第では、A社に対する契約解除が法的に正当でなかった余地も出て来て、その場合、他の会社が買取大吉を買っても、うちがそこに不当性を問う訴訟を起こす余地もないとは言えません」(中国ファンド)。
ちなみに、本紙が得ている情報では、青山服役囚はかなり前から売却を考えていて、約2年前に着物・ブランド品等リユース事業「Buysell Technologies」(7685。東証グロース。東京都新宿区)が160億円で買おうとしたことも。その後、誰もが知る大手消費者金融会社の名も出ているが、青山氏、ともかく高値を譲らず決裂した模様だ。



