
本紙ではこれまで何度か、IKKOのCMでお馴染みの金・ジュエリー・ブランドバッグなどの買取大手「買取大吉」のオーナーは、現在も未公開株詐欺で服役中の青山清利受刑者(懲役5年半の実刑)ではないかと報じて来た(*暴力団との密接交際ぶりも)。
だが、それはあくまで“疑惑”として来た。
もっとも、冷静に考えれば、いくら疑惑に止めているとはいえ、そんなことを報じることは「買取大吉」(運営会社は「エンパワー」。東京都新宿区。増井俊介代表)へ対する営業妨害で、名誉毀損、偽計業務妨害等に問われかねない。
それにも拘わらず、本紙が報じていたのはオーナーは青山で間違いないと、関係者からの情報提供で確信していたからだ(*大吉側から今現在、抗議1つない)。
では、なぜ“断定”で報じなかったのかといえば、本紙既報のその青山を被告、「買取大吉」を買収しようとしていた中国ファンドのわが国における投資会社A社を原告とする損害賠償請求訴訟には閲覧制限が付いており、断定して報じるとこの原告に迷惑がかかることを配慮してのことだった。
だが、もう配慮する必要がなくなったので、今回、“断定”して報じると共に、本紙がそう信じる根拠を示す。
今現在も、先の損害賠償請求訴訟において、青山の要請通り、閲覧制限を認めるかどうかの結論は出ていない。
だが、青山から「買取大吉」を買収しようとしていたA社の背後の中国ファンド自身が、青山が「買取大吉」のオーナーであり、その事実を報じてもらっていいと、本紙に直に連絡して来たからだ。
本紙としては願ったりかなったりだが、中国ファンドはなぜそんな行動に出たのか?
①先ずもって、(株)「大吉」(東京都新宿区)の100%株主が青山であり、(株)「エンパワー」の100%株主が「大吉」であることから、中国ファンドは「買取大吉」の買収を検討し出した時、わが国の投資会社A社を通じて、青山個人と慎重に検討して来ていたという。
②そして2024年12月1日、A社と青山個人との間で、「大吉」の株式譲渡契約が締結され、中国ファンドは資金の準備をしていた。
ところが、そのわずか3日後、「エンパワー」のFCの社員による老女からの盗難事件及びその社員の逮捕が報道された。
そこで、この事件に関し、A社がエンパワーに対して責任体制等を問い質したところ、エンパワー及び青山は「こんなことは大した問題ではない。エンパワーにまったく責任はない」旨いい、会社体制を見直す姿勢をまったく示すことがなかったという。
このようなエンパワーの経営体質は、詐欺を働き収監中の青山の資質が反映されていると思わざるを得ないと考えた中国ファンド並びにA社は、そこで3~6カ月程度の一定期間、観察期間をおき、企業体質の改善を図ると共に、企業のコンプライアンスを徹底するつもりだったという。
③ところが、青山は一方的にA社に対して契約を打ち切り、挙句、期限までに買収資金約377億円の支払いをしなかったとして、A社に対し37億円以上の違約金請求をして来たという。
今回のA社原告の訴訟は、それに対抗するものだ。
こうした経緯は、中国ファンドもA社側から聞いて共有しており腹立たしく思っていたという。
しかも、中国ファンドも買収資金約377億円に加え、大吉買収後の展開資金も含め総計460億円の資金確保をしており、そのための金利初めコストが無駄になり、金銭的に巨額損失を被っている。
そうしたなか、A社が青山を提訴したところ、青山は服役中の自分が被告(=「買取大吉」のオーナー)と公になれば「買取大吉」に巨額損失が及ぶとして、今回訴訟の閲覧制限を申請。しかし、それは自分が犯罪をしたためで自業自得、そして自分の資産目減りを回避するためで、閲覧制限に正当性はないというのがA社、中国ファンドの見解だ。
そのため、「ふざけるな!」となり、今回の訴訟を知り、また以前から青山のことを取り上げて来ていた(*本紙の青山関連記事は、買収を検討するに当たりすべて見ていたとのこと)本紙に連絡して来てくれたというわけだ。
そして、中国ファンドが本紙に提供してくれた資料のなかには、買収に当たり、わが国の弁護士事務所に依頼した「法務監査報告書」があった(2024年11月作成)。
この報告書は50ページに及ぶものなので、要点だけ述べる。
「大吉」が「エンパワー」の100%株主なので、その「大吉」の株主は誰かなのだが、「大吉の株主名簿において青山氏が大吉の600株の全てを保有する1人株主と記載されている」(報告書より抜粋。以下、同)。
ただし、大吉の原始定款には増井社長(大吉もエンパワーも)が600株すべて引き受ける1人株主で、大吉の株券の名義人も増井氏(右横写真)とのことだ。
しかし、以下の理由から、やはり青山が大吉の100%株主だと結論づけている。
「①大吉の株券は一貫して青山氏の代理人である弁護士大辻寛人氏(*編集部注。今回訴訟もそう)が保管していること、②増井氏自身が大吉の代表取締役として上記株主名簿を作成していること、③増井自身が、青山氏が大吉の100%株主であることを認め、青山氏が株券を保管することに異議を述べない旨の確約書を差し入れていること等を踏まえれば、増井氏は単なる名義株主に過ぎず、真の株主は青山氏である可能性が高いと評価することができる」。
ちなみに、エンパワーの株主に関しても、左横写真のように、変遷しているものの、最終手的には青山個人から、青山が100%株主の「大吉」に移っており、矛盾はない。
それに、今回訴訟に見られるように、中国ファンド側は、「買取大吉」の買収において、青山個人と交渉(むろん、服役中なので代理人弁護士を介して)しており、挙句、青山が買収交渉が決裂したとして前述のようにA社に37億円要求し、逆に提訴されているのだ。青山が「買取大吉」の一人オーナーでなければあり得ないことだ。
もちろん、理由はどうあれ、今回の訴訟で、青山が閲覧制限を申請するのは無理ないとは思う。
なぜなら、買取大吉の商売は古物商の許可の元に行われているが、そのオーナーが青山服役囚となれば、買取大吉の古物商許可が取り消しになる可能性がある。そうなれば、買取大吉は営業が停止の可能性も。
また、増井代表が青山がオーナーと知りながら、名義上だけ自分がなり、世間を偽っていたとなれば、買取大吉オーナーは犯罪者の事実同様、同社のイメージ低下は著しく(むろん増井氏の責任も重大)、CMもストップとなり、最悪、倒産ということもあり得ないわけではないのだから。



