アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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当局もようやく本腰か――本紙が指摘していた、「王将事件」の重大疑惑人物

 10月28日、京都府警が「王将フードサービス」(9936。東証プライム。京都市山科区)の大東隆行社長(当時)が射殺された件で、工藤会系幹部・田中幸雄容疑者を逮捕したことはご存じの通り。(冒頭写真=「毎日」11月2日)
だが、本紙でも既報のように、田中容疑者には射殺事件当日のアリバイがあり、そのアリバイを崩す有力情報は上がっていないようなのだ。
「田中の関与を裏づけるタバコの吸殻のDNA鑑定は7年も前のこと。だから当時から田中を逮捕しようという意見はあった。ところが、福岡県警の調べでは、事件当日、福岡のコンビニを出入りするところが映っていた。それで逮捕は立ち消えになった。それがなぜ今回? 京都府警は事件当日の吸殻であることが新たな科学鑑定で出たというが、勇み足である可能性があるのです」(全国紙記者)
そのため、田中容疑者を起訴できないどころか、勾留期限一杯で釈放という事態もあり得るという。
ただし、警察にとって好都合なのは、田中容疑者は当局が組織壊滅を狙う工藤会組員という事実。決定的な証拠なく、野村悟総裁に死刑判決が出てもそれを批判する声は上がっていない。
誤解のないようにいっておくが、本紙とて田中容疑者がまったく関与なしとは思っていない。実行犯と殺人依頼者の仲介役で、現場にも下見に来たとか何らかの関与は高いと思っている。だが、当局発表のように射殺した実行犯かというと現状ではまったく裏づけはないのではないか、と言いたいのだ。
したがって、当局は今、田中容疑者の勾留中に何とか有力証拠を得ようと、今更ながら必死で捜査している。
そのなかには、事件を機に、王将フードサービスの第三者委員会が16年3月に公表した調査報告書では、創業家との関係が深いA氏側に約270億円が貸し付けられ、内170億円が未回収と報告されたが、それに関して闇の部分があるとの指摘にもやっと目を向け、創業家やその当時の王将役員らへの聴取も含まれる。
当局は事件発生時、A氏の依頼殺人事件ではないかと疑った。
それは無理もないのだが、A氏の言い分によれば、170億円もの未回収は存在しないことになる
では、その170億円とは何なのか?
報告書では触れられていないが、その分は、実は創業家関係役員の株投資や不動産取引の負債にも拘わらずA氏の借金として処理した疑惑があるのだ。しかも、報告書は反社会勢力の関与はないとしたが、関与があった可能性がある。

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