アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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連載『詫びる覚悟はできてます』第6回「テレビを見ていたら馬鹿になる」

筆者・中井仲蔵(コラムニスト)――この連載は、普段は某中小企業に務めつつ、こっそり雑誌やウエブ媒体に原稿を書くコラムニストの私が、あまり話題にならなかったニュースを拾い起こしてみようというものです。月2回の掲載を目標にしています。

 昭和30年代、ジャーナリストの大宅壮一による「テレビを見ていたら国民がみんな馬鹿になる」という旨の発言は、社会で大きく取り上げられ、流行語にもなりました(元の発言は差別的用語を含むパンチの効いた言い回しだったのですが、ここではもう少しマイルドな表現に変えてあります)。

それから六十余年。さすがにテレビを見ただけで頭が悪くなったりはしませんが、テレビは確実に「馬鹿を作り上げるための機械」になりつつあります。

いえね、バラエティ番組が低俗だったりドラマがくだらなかったりするのは別にいいんですよ。問題は報道番組や情報番組やワイドショーなどの、あたかも「生活に必要な最新情報を伝えている」という体裁のコンテンツです。

特にひどいのがワイドショーで、10月31日の衆議院選を直前に控えたこの時期なのにもかかわらず、ほとんど政治のニュースは取り上げません。各局、投票日には選挙速報をやるみたいですが、政策の違いや候補者の信条などは、投票前にぜひとも分かりやすく説明してもらいたいもんですけどねぇ。

では、政治ネタの代わりにワイドショーで放送時間の尺を稼いでいるのが何かといえば、小室圭さんの話題。
小室さんが過去に、いったいどんな悪事をしたのかは知りませんが、テレビじゃずっと悪者扱いでしたよね。といいますか、マスコミの連中がよってたかって悪者に仕立て上げた、というのが正確かも。10月26日には無事、眞子さんと入籍したそうですが、若い夫婦が平穏な生活をおくれるよう、願ってやみません。
そもそもテレビ局のみなさんも、皇族とその周辺の不祥事を扱いたいんだったら、五輪誘致を巡る収賄罪の容疑のかかっている竹田恆和氏(明治天皇の曾孫)や、ご自身が役員を務める太陽光発電の会社に脱税関与疑惑が出ている竹田恒泰さんのほうがよっぽど報道価値があるんじゃないかしら。小室圭さんの髪型をとやかく言う暇があるなら、そっちの実態を知りたいもんです。

 総務大臣時代の高市早苗さんが「テレビの連中が気に食わないことすると放送法違反で電波止めるぞ」と脅したのが、いまも効果を失ってないようです。そういえば、森友学園問題が発覚した2017年頃も、ワイドショーはずっと北朝鮮の金正男氏暗殺のネタをやってました。終いには新しい情報がないのに同じ話を繰り返していて、味のしなくなったガムをずっと噛み続けているような印象があったのを覚えています。あの頃からテレビ局による忖度は始まったようです。

今年になってからも、愛知県知事のリコール署名偽造事件という、本来ならワイドショーでガンガンやればおもしろそうな事件が起こりましたが、ほとんどテレビで見た覚えがありません。よくは知りませんが、事件に深く関与してたのが、包茎治療のCMスポンサーの高須克弥さんだったのと、その思想が安倍晋三さんと非常に近かったのが、影響していたんでしょうか。

一方で、菅義偉さんが総理辞任を発表してからは、自民党の総裁選をずっと放送してましたね。国民のほとんどには投票権がないにもかかわらず、各候補がマニフェストを述べてましたが、岸田文雄さんが総理大臣になったとたん、主な公約はすべて反故にされてしまい、「あの時間はなんだったんだ」と疑問に思った人も多かったように思います。

もったいないことに、今の時期には絶対に高視聴率が取れそうな面白ネタがほとんど触れられることなく放置されているのを散見します。

たとえば、衆院選小選挙区の島根一区。

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