「アジア開発キャピタル」(9318。東証2部。アンセム ウォン社長。東京都中央区)は2月19日、「ワンアジア証券」(東京都千代田区。鬼木康男)を子会社化するとのIRを出した(実行日は2月26日)。
アジア開発は旧名「日本橋倉庫」。さらに「ジェイ・ブリッジ」(JB)→「アジア・アライアンス・ホールディングス」を経て2015年10月から現社名。旧JB時代には桝澤徹元社長が暗躍。当時は企業再生を主体としていたが、海外も含めた多数のファンドを利用して桝澤氏と彼に連なる人脈が私腹を肥やした疑惑が浮上。あのオリンパスの損失隠し事件でも、関りが指摘された。だが、資金繰りに困り、香港を拠点とする金融系多国籍企業「サンフンカイグループ」を頼ったところ、やり手のサンフンカイ側に少ない資金注入で実質、経営権を乗っ取られた。07年6月のこと。以来、同社はサンフンカイ側と親密な関係にあるとされる。
そのアジア開発キャピタル、実に14期連続で経常損失を計上。「継続疑義注記」。そんななか、サンフンカイ側からワンアジア証券の紹介を受け、子会社化を決めたという。
ワンアジア証券の親会社は「金山能源集団有限公司」だが、その金山能源集団の親会社は「北京大学青鳥集団」。サンフンカイグループもこの北京大学青鳥集団も香港を拠点に協業関係にあり、かつ、共に以前から日本の金融市場に興味を持っていた関係から、ワンアジア証券の子会社によりわが国証券業へ事業範囲を広げることが可能になるということで決めたという。
だが、この決断、本当に問題ないのだろうか。
というのは、アクセスジャーナル本編ではつい先日、「わが国仕手グループとも接点――中国市場追われた許氏が、日本で“恩人”に仕掛ける訴訟」というタイトル記事を報じたが、その許振東氏がこの北京大学青鳥集団の中心である香港上場IT企業「北京北大青鳥」の元トップであるだけでなく、ワンアジア証券そのものが同氏の影響下にあるとの見方もあるからだ。