大手マスコミは本日、お昼のニュースなどで、経営コンサルタントの松尾隆容疑者(75)と田中晶雄容疑者の2人を、警視庁が詐欺容疑で逮捕したと報じている。
松尾容疑者は、資金繰りが厳しい都内パチンコホールのシステム開発会社へ約2000万円の融資を仲介。その後、その会社に「田中さんが代理で(融資元の70代男性に)返済した」などと虚偽のことを告げ、田中容疑者の口座におよそ2000万円を19年5月に振り込ませ騙し取ったという。
既報道では触れられていないが、今回逮捕された2人は姓こそ違うが親子だ。
本紙ではつい先日の1月7日、東証2部に上場していたものの経営破たん(17年11月)した「郷鉄工所」(岐阜県垂井市)の連載を始めたが、そのなかで松尾容疑者はその主犯と顔写真も掲載し触れていた。
松尾容疑者は郷鉄工においては、息子の田中容疑者が代表を務める「LUXRESインベストメント」(東京都中央区)の顧問の肩書で、「田中隆」と偽名を使って接近。郷鉄工は融資の仲介を受けた際の手数料を同社に振り込んでいたわけで、当時から松尾親子は一体の関係にあった。
松尾容疑者が偽名を使ったのは、当時、同じく資金繰りの相談に乗ったものの、ジャスダック上場廃止になった「セイクレスト」(大阪市中央区。12年12月に破産手続き中)に関し、水増し増資事件(金商法違反)で逮捕され、有罪判決(懲役2年6月。執行猶予4年。罰金300万円。追徴金は6億2926万円)を受け、執行猶予中の身だったからだ。
郷鉄工の実質、倒産でさらに田中親子の悪名は高くなり、それは「LUXRESインベストメント」も同様であることから、18年6月、同じく息子の田中容疑者が代表を務める「HALUXAS Capital」(東京都港区)を設立。こちらも投資コンサルタント業で、近年は専らこちらの方で仕事をしているといわれていた。
経済事件記者の間では有名な存在で、「資本のハイエナ」の一人と形容するメディアもあった。