まず、「木原事件」について「事件性なし」とした露木康浩警察庁長官を、「日本タイムズ」の川上道大代表が犯人隠避罪(刑法103条)などで検察に告発している件。
「書類不備」を理由に告発状は3度返戻されるも、川上氏はめげることなく4度目の告発(昨年11月29日付)。これに対し、これまでは2、3回目は最高検に出すも直に返戻されていたところ(1回目は東京地検に提出)、昨年12月18日、その最高検から「東京地検に回送」との通知があった(下左写真)ことから、ついに受理されるのではないかと見方もあった。
だが、今回、1月24日付で、これまで同様、書類不備=「犯罪構成要件に該当する具体的な事実を具体的な証拠に基づいて特定」されていないということで4度目の返戻となっていた(下右写真)ことがわかった。
だが、川上氏とて、返戻の都度、書類不備と言われないようにより記載内容を充実させている。また、川上氏はこれまでも安倍晋三首相(当時)についても何度も告発し受理になるなどの実績もある。
こうしたことを考えれば、検察は書類不備を理由に、これだけ国民の関心が高い木原事件につき、だからこそ、受理しないつもりではないかとの懸念も生じる。
川上氏が1回目の告発をしたのは昨年8月8日付。すでにそれから6カ月以上経過。この間、『週刊文春』によるキャンペーンも終わり、世の関心は薄れつつある。
もっとも、川上氏自身は諦めておらず、5度目の告発状を出すそうだが、さらに記載内容に万全を期すためある準備が必要で、そのために4度目返戻から日が経過しているという。
一方、その川上氏自身が山口組に5度も襲撃されたことに対し、山口組トップの司忍(篠原建市)、高山清司氏ら4名に対し、教唆による使用者責任(民法715条)に基づき共同不法行為に当たるとして東京高裁に控訴している件だが、2月7日に2回目の弁論があった。だが、裁判官は書類提出が遅いことを理由に弁論を終結。4月13日に判決を言い渡すとした。
これに対し、本紙が川上氏の代理人弁護士に取材したところ、下記のように述べ、カンカンに怒っていた。
「書類提出の時期が遅れたなんてことはありません。2回目の弁論の直前になって何かこちらが申し立てしたというならまだしも、こちらは1回目の弁論(昨年11月20日。809号法廷)までに出しているんですから理由がない。当然、異議をいいました。
理由にならない理由で何ら審議せず終結したんですから、これでは山口組のブラフがかかっているのか知らんけど、裁判官はビビッてのことではないかとさえ思ってしまいます」
本紙YouTube版でも報じたように、相手がわが国最大の暴力団のトップを始めとする幹部4名(当時)を被告とした訴訟だけに、川上氏と弁護士は警察車両で送り迎えされ、法廷前、中に計20名近い警官が配置されていた。1回目弁論では誰も来なかったが、2月7日の弁論では寺岡修元 侠友会会長、元神戸山口組若頭が出廷。閉廷後、川上氏が寺岡氏と話をしようと接近し、これを警官が阻止し、緊張感はピークに達したという。
寺岡氏は、川上氏が山口組直系組織「若林組」(香川県高松市)の組員らに襲撃された当時、四国・中国地区のブロック長だったことから被告に。しかし現在は山口組から離脱(しかも神戸山口組も出て引退)していることから、被告4名の内、若林組の篠原重則組長も含めた3人は同じ代理人弁護士が付いているものの、寺岡氏は代理人を付けておらず、この日の本人出廷となった模様。
本紙では、川上氏の自宅にカチコミ(発砲)した1回目の犯行の拳銃は香川県警の警官から提供されるなどしたことから未だ犯人が捕まっておらず、それは木原事件が未解決であることと同様。重大な「警察の事件隠ぺい」疑惑という点で“同根”と見て、この裁判の行方に注目しているのだが、上記のような理由なき理由(?)で終結。一審(昨年2月20日)さえまったく審議せず終わっていることから、「一審差し戻し」の可能性もゼロではないものの、厳しい判決が予想されると川上氏担当弁護士はいう。
なお、本紙がYouTube版で呼びかけた昨年11月20日の1回目弁論が即、終わったのは、被告側の「答弁書」が揃ってなかったためだとのこと。そして、担当弁護士は、この山口組幹部らへの損害賠償請求訴訟が棄却されても、まだ、当時の汚職警官を引きずり出し、捜査の違法性を問う手段として、国家賠償請求訴訟(警官に関しては自治体警察なので最寄りの香川県、一方、不作為の作為で事件を隠ぺいした検察については国=法務大臣=が被告)に期待を託す(この代理人弁護士も同)。