アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<特別寄稿>「消された時価100億円の『リクルート』株券の真実と闇を暴く」(当事者渾身の手記)

 本紙ではこの疑惑、「『リクルート』を悩ます、あの元大石組長100億円旧株券」のタイトルで20年11月~21年7月まで4回連載するなど追っていた。
しかしながら、その後、この時価100億円はするという「リクルートホールディングス」(以下、リクルート略。6098。プライム。東京都千代田区。峰岸真澄社長=冒頭右写真)の旧株券3枚を所有する2人は、リクルートを相手取り、「株主名簿書換等請求事件」を東京地裁に提起。そのため、本紙は記事を控えていた。
この訴訟、今年4月11日に判決があり、原告の請求はいずれも棄却された。
だが、原告は所有する株券の正当性は認められたものと理解しているという。そして、今後も株主権利を主張し、真相を明らかにして行くと宣言。これまでのいきさつから、本紙に手記を寄せた。

平成17(2005)年7月26日、「会社法」が制定され、上場企業においては株券不発行とされた(株券電子化)。平成18年(2006)7月10日、株式上場を目指す株式会社リクルートは定款変更により株券不発行会社へ移行し株券を無効とした。
平成21(09)年1月5日、株式市場における株券電子化取引開始。
そして、平成26(14)年10月16日、リクルートは旧東証1部市場に上場を果たす。
当然のことながら、リクルートに限らず株券不発行会社に移行したからといって、既発行株券を保有している株主若しくは投資家の株式及び株主権が消滅してしまうはずはなく、当該株券発行会社によって開設された「特別口座」によって株主の権利は保護される。
仮にこの部分が守られないのであれば、株券をばら撒いて多額の投資資金を集めたあげく、株券不発行会社に移行して株券を無効にし出資金を搾取してしまうという投資詐欺が横行してしまうだろう。資本主義経済の根幹を揺るがし兼ねない事態に陥ってしまう。
そのような、あり得ない事が起きているのが今回のリクルートの件なのだということをまずは強く申し上げておきたい。

本件株券の名義人は「財団法人江副育英会」(現・江副記念リクルート財団)であり、言うまでもなく「旧株式会社リクルート」創業者「江副浩正」(冒頭左写真)の関連組織であり、リクルート上場時においても大株主であった。
故・江副浩正氏と言えば政財界を巻き込んだ大事件「リクルート事件」被告であり、同事件で分かるとおり株券をばら撒く習性のある人であった。
リクルート事件は子会社「リクルートコスモス」株券であったが、「旧株式会社リクルート」株券においても広範囲の関係者にばら撒いたであろうことは容易に想像でき、個人名義株のみならず「財団法人江副育英会」名義株もばら撒かれたわけである。その一部が正に本件株券なのだ。
本件株券は江副浩正氏の妻である江副啓子氏に譲渡された後、平成16(04)年9月17日、日本創研株式会社への譲渡を皮切りに別紙(以下に)のように転売された。
これらの株取引が正当な商取引であったことは、「平成21年(ワ)20638号 株主名簿書換等請求事件」の判決(以降、「緋田判決」という)において、「被告(財団法人江副育英会)は、株式会社リクルートに対し別紙株式目録記載の各株式(本件株券)について原告(緋田将士)への譲渡承認請求手続きをせよ」によって担保されており、したがって本件株券が旧株式会社リクルートによって発行され株式会社リクルートに継承されるべき株式であることは紛れもない事実なのである。
万が一、緋田判決が無視される結果になるのであれば、これもまた法治国家であるところの我が国の根底を揺るがし兼ねず、憲法29条に規定されている「財産権」の侵害、すなわち憲法違反ともなる大事件なのだ。
前述のとおり、わが国証券市場においては平成21(09)年1月5日の取引から株券電子化が実施されたわけだが、その時点において個人投資家が取得した約100億株が証券会社の証券取引口座の預かりになっていない、いわゆる「タンス株」として存在していた。
100億株というのは現在価値に直すと、例えば東証プライム(旧東証1部)単純平均株価が2319円ほどなので×100億で約23兆円という莫大な資産である。
その後、時間の経過とともに「保管振替機構」(通称ほふり)を通じて電子化され「振替株式」への移行が進んで行ったものの、今なおかなりのタンス株券が存在していると思われる。本件株券も正に状態としては「タンス株」なのである。
緋田判決の後、本件株券をリクルートの株主名簿管理人である「三菱 UFJ 信託銀行 証券代行部」に持ち込み名義変更手続きを行っていれば、本件株券は何の問題もなく名義変更を終えていたであろう。
では、何故そうしなかったのか。その時点における真の株券保有者は緋田将士氏ではなく、「大石誉夫」氏であったからだ。大石氏が緋田氏を使って裁判を行ったのは、大石氏が暴力団関係者であったからという理由による
上場前企業の株主に暴力団関係者がいたら、上場に支障をきたすであろうことは子どもでも理解できるであろう。かくして本件株券はタンス株と相成ったのだ。

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