アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「詐欺撲滅弁護士」が懲戒請求された驚愕理由=詐欺師側に1000万円提示し協力依頼!?

「事実は小説よりも奇なり」を地で行くような、所属する東京弁護士会への懲戒請求理由だ。
懲戒請求書が出されたのは今年4月19日。
そして4月25日付けで、東京弁護士会から懲戒請求者U氏に「調査開始通知」の文書が届いている。
懲戒請求されたのは「杉山雅浩」弁護士(冒頭写真)。
「ワンピース法律事務所」(東京都豊島区)所属で、東京弁護士会に登録されたのは2015年。若手の弁護士ながら、「詐欺撲滅」を謳い、YouTubeやブログで積極的に詐欺師の手口など暴き、自ら“詐欺師に強い”といっており、詐欺事件関係ではかなり有名な弁護士だ。
これだけ聞けば、“正義の味方”とも思われるのだが、今回の懲戒請求。それもタイトルに記したように、まさにあり得ないような行為をしたことから弁護士法第56条の第1項に定める「弁護士としての品位を失うべき非行に該当する」として懲戒請求されているわけだ。
本紙がこの懲戒請求の件を知ったのは、懲戒請求者U氏は、本紙既報の「GXTT」なる暗号資産(仮想通貨)詐欺事件に関係していたことから。しかもこのU氏、詐欺師側として登場していた。
こう聞くと、読者のなかには、“正義の弁護士”が詐欺師側のワナにハマり貶められたのでは? と思われるかも知れない。
ただし、この件では音声記録が存在するのだ(以下、そのテープ起こしした一部を公開)。
懲戒請求書、複数の関係者の証言、音声やLINEのやり取りなどの記録を検討すると、契機は、このGXTTの件で被害者A夫婦は杉山弁護士にU氏との示談交渉を依頼していたがこれを解約したことのようだ(今年1月8日)。
解任されたことにつき、「詐欺撲滅弁護士」として詐欺師に恐れられている自分の名前だけ使われたと勘ぐったと思われる杉山弁護士、プライドが高いこともあってのことだろう、これにより詐欺師より詐欺被害者A夫婦の方が憎しとなったのか? その結果、A夫婦の相手方のU氏に連絡を取り、ともかく1000万円払うからといって協力を依頼したとされる(1月12日)。
それだけでも十分に驚きだが、前述のように、杉山弁護士はすでにA夫婦から解任されていたにも拘わらず、それはA夫婦からそういうフリ(演技)をしろと言われてしているだけで、実際は未だ代理人だと虚偽の説明をして、U氏に、A夫婦が別の弁護士に頼んでU氏との間で交らした「示談書」映像を送るように依頼したとされる。
この2つの件で懲戒申し立てされているのだ。

 

 早速だが、以下、1000万円支払うとしてU氏に協力を依頼したとされる音声録音部分を紹介する(*カッコは編集部注)。

--相手方(*U氏のこと)に対して買収を持ちかけるって、弁護士として問題ないんですか?
杉山弁護士「全く問題ない。だって、相手(*A夫婦と思われる)は牙剥いて敵なんで。それは自己防衛して当然ですよね。(略)どうしてもUさん協力できないっていうんでしたら、もういいですよ。別に買収の話とかあってもなくても別にいいんですけど」
--とりあえず迷惑なので電話を止めてもらえますか。
杉山弁護士「今回腹立ったんで(*A夫婦に対してと思われる)1000万は出す予定だったんですけど、本当にそれは無理なんですかね?」
--何に1000万?
杉山弁護士「本当にポンと出しますよ1000万。私、そんな金持ちじゃないけど、こういう腹立つ案件には1億でも2億でも出す人間なんで。もし、ご協力いただけるんであれば1000出しますから、1000は出す、少なくとも。それである程度契約書とかご提供いただけるんだったならば、お願いしたいと思っています。別にそんな難しくない。これは冗談かも知れないけど、私、割と出す人間なんで。おカネの使い道は変な人間です。ということをご了承いただいて、ご検討いただければと思います。
--いや、検討しないんで、あのとりあえずもう電話止めて下さい。お願いします。

U氏が即、断ったことから、杉山弁護士は1000万円出して何の協力を依頼しようとしたか不明ながら、U氏に自分以外の者が勧誘した被害者、逆に勧誘した仲間の契約書をもらい、それで示談仕事の営業をかけるつもりだった可能性もあるのではないか。

本紙がそのように勘ぐるのは、別のU氏との会話部分では、「サギ撲滅」を謳いながら、詐欺被害者も詐欺師側も変わらないかのような以下のような発言もしているからだ。

「自慢じゃないんですけど、私、詐欺師に非常に恐れられていまして、で、結局その詐欺師、まあ少なからず被害者の方も結局、詐欺師の人と、被害者のこと悪く言うつもりはないんですけど、やっぱり詐欺師と似たような、まあ楽しておカネを稼ごうっていう発想があるんですから、基本的には詐欺師とちょっと似ているところがあるんですけども、まあ、杉山の名前を使えば、詐欺師はおカネを返してくれるみたいな、発想になって、自分の名前だけ使って、おカネを回収しようっていうような奴が結構出て来て、その人なんですよね、A夫婦(*実名を伏せた)が騙されたの。で結局、で、私解任したっていうけど、実際……」

一方、杉山弁護士は実際にはA夫婦に解任されているにも拘わらず、解任されたフリをしているだけといってU氏に連絡して来たことについても意味不明ながら、U氏は、そういう理由にして、すでにU氏は別の弁護士と示談を済ませているが、U氏は杉山弁護士が暗に“二重請求”して来たと疑っている(ただし、杉山弁護士は会話のなかでそんなつもりはないと否定)。
会話のなかで、U氏が二重請求の疑いを述べ、杉山弁護士を懲戒請求しようと思うといっても、杉山弁護士は「ぶっちゃけた話、懲戒請求全然怖くない」などとも言っている。
また、1000万円払う会話の前には、50万円払えば「被疑者リストからUサン外す」、この会話を録音していることをU氏が告げ、そもそも解任された杉山弁護士が自分に連絡すること自体違法で、この音声録音を警察に持って行くというU氏に対し、杉山弁護士はA夫婦以外の被害者から示談依頼を受けていないにも拘わらず、U氏の被害者は他にもいるとして、「たぶん刑事告訴するんで余裕で連絡しますよ」などとU氏を脅すような文句を吐いてもいる。
なお、この杉山弁護士、21年2月15日、東京弁護士会から戒告の懲戒処分を受けている。
依頼者が委任解約申し入れしたにも拘わらず、相談料1万円を引いた着手金4万4000円を合理的理由なく返さなかったためだ。

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