横浜港の荷役事業などを行う「藤木企業」(神奈川県横浜市)の藤木幸夫会長(冒頭写真。91)といえば、「ハマのドン」と呼ばれ、横浜経済界にも大きな影響力を持つ大物だ。
特に、菅義偉前首相(当時は官房長官)が横浜へのカジノ誘致を言い出すや、地元の顔役として、そもそも菅氏の後見人であったにも拘わらず、「横浜といえば(日雇い労働者の街)寿町など典型的なように、パチンコ、賭けマージャンなどで身を崩し、家族が壊れるケースもいくら見て来たことか。お前、それでも政治家か。俺は絶対に反対だ!」とケンカを売り、これがマスコミで取り上げられ、多くの国民から「義」や「人情」を重んじる人として拍手喝采を浴びた。
そして、21年8月の横浜市長選で、藤木氏はカジノ反対の山中竹春氏(立憲民主党推薦)を支援。菅氏が支援した小此木八郎元国家公安委員長、菅氏の子分でカジノ誘致を表明していた林文子前市長を破り当選。今年1月4日の横浜港運協会の会合では、23年春の横浜市議選で「生きていれば自民党、公明党(の候補者)全部落とします」と怪気炎を上げるまさに時の人だ。
2月5日には「テレ朝」で、横浜へのカジノ誘致阻止を描いた「ハマのドン“最後の闘い”--博打は許さない--」のタイトルの1時間近いドキュメントドラマ(下写真)が放送予定だ。
ところが、こうした藤木氏の人物像は虚構だという人物が現れた。
誰かと思い気や、それは藤木企業で働く現役社員の小又英一郎氏(24)。
小又氏、明治大学を卒業し20年4月に入社。
総務や人事管理、顧客対応等の一般事務職として採用されたという。だが、今年4月で入社丸2年を迎えようとしているが、この間、ずっと毎日朝から晩まで横浜港で荷物担ぎに従事しているという。
入社時は現場を覚えてもらうためということで納得していたが、現在は、内定時に出した手紙が藤木氏の逆鱗に触れ、その意趣返しとしか考えられないという。
「これは労働契約法違反でもあります。
私は藤木会長の唱える『義理・人情・恩』に憧れ藤木企業を選びました。しかし、それは本物ではありませんでした。本当に残念です」(小又氏)
いったい、何があったというのか?