アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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東京地裁、「東京機械」の買収防衛策認める――「アジア開発」側プロキシーファイト著名弁護士、これで連敗か

 本紙でも適時報じている、「東京機械製作所」(6335。東証1部。東京都港区)の株式を「アジア開発キャピタル」(9318。東証2部。東京都港区)側が今年6月から約4割を買い占めたことで始まったこのバトル--これに対し、東京機械は、アジア開発側を除く株主に新株予約権を付与しアジア開発側の保有割合を減らそうとする防衛策を発表。その是非を問う10月22日に開催された東京機械の臨時株主総会では、アジア開発側の議決権を認めず、約8割の既存株主の賛成を得ていた。
とはいえ、これに対し、アジア開発側は「株主平等の原則に反する」として、その防衛策発動の差し止めを求め仮処分を申し立て。その結果が注目されたが、10月29日、東京地裁はこれを却下したのはご存じの通り(アジア開発側は即時抗告)。
株主総会で、利害関係がある大株主を除いた少数株主だけで採決する手法を「マジョリティー・オブ・マイノリティー」(MOM)といい、わが国の総会決議で用いられたのは初と見られるだけに、この仮処分結果、なおさら注目されていた。
金融商品取引法では3分の1超の株式を取得する場合は原則、株式公開買付(TOB)を実質義務づけている。しかし、アジア開発側は市場で取引時間中に株を買い集める行為は規制対象外という「規制の穴」を突いて何の話し合いもせず買い占め。これに対し、東京機械は買い増ししないように求め、対抗策の発動を警告したにも拘わらず、アジア開発側はこれを無視したことから、地裁は、東京機械がアジア開発側の議決権を認めなかったことを「不合理とはいえない」とした。決して、どんな場合でもMOMは有効と認めたわけではないのだ。
ところで、この東京機械VSアジア開発のバトルで、アジア開発側の代理人を務めたのは「OMM法律事務所」所属の大塚和成弁護士。東京機械の方は所属弁護士数が日本一の「西村あさひ法律事務所」の太田洋弁護士。
共に「プロキシーファイト」(委任状争奪戦)など、上場企業を中心とした企業ニーズに答えるプロフェショナルとして有名な御仁だ。
ただし、太田氏の場合、最近では村上世彰氏のファンドが「東芝機械」(現・芝浦機械)にTOBを始めた時に東芝機械側で防衛するなど大企業が多いのに対し、大塚弁護士の方はいわゆる「ハコ企業」などが多い。具体的には「21LADY」(委任状争奪戦)、「イメージワン」(同)、「Nuts」(不正調査案件)など。そして21LADYとNutsはその後、上場廃止になっている。

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