アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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東京機械VSアジア開発――本当に“経済安保”に関係するのか? との見方も

 本紙では9月11日、新聞輪転機老舗メーカー「東京機械製作所」(6335。東証1部。東京都港区)の株を、香港系投資会社「アジア開発キャピタル」(9318。東証2部。東京都港区)が40%近く買い占めている問題につき、わが国の新聞発行事業に悪影響を与える懸念もあるとして、内閣官房が“経済安保”の観点から情報収集を促している件を報じたが、折からの日中関係の緊張と相まって、一大国際問題に発展する様相さえある。
9月17日、アジア開発は、東京機械の防戦のために既存株主に無償で新株予約権を割り当てる方針に対し、この差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。これにより、アジア開発側の株の保有比率を引き下げることは、会社法の株主平等の原則に違反していると主張している。
東京機械のこの方針は株主総会での承認を要するが、“経済安保”で日本政府も動き出した上、わが国の新聞各社もアジア開発の株買い占めに反対の意向であることを思えば、株主総会で承認を得られるのは必至のようだから無理もない。
9月10日、東京機械は、アジア開発側の買い占めに対し、「全国の新聞社40社からの書簡の受領に関するお知らせ」と題したIRを出した。
先に東京機械の都並清史社長(冒頭左写真。右は本社入居ビル)が新聞各社に書簡を出し、今回の買い占めで、アジア開発側は「支配権の取得」を掲げながら具体的な経営方針等を示さないことから、「輪転機の製造、メンテナンスを通じ、わが国全体の新聞発行を支える社会インフラに影響を及ぼす可能性がある」事態と捉え、「強い危機感を持っている」と伝えたことに対し、新聞各社も、東京機械の日常業務運営や先行きに支障が生じることに懸念を抱いているという。
現在も国内の主要な新聞社の過半数に当たる約40社は東京機械の輪転機を使用している。そして、軽微な故障等は自社で対応できるが、重度の故障や大規模な整備となると輪転機メーカーの協力が不可欠だからという。
横に、その書簡の新聞社名記載部分を転載する。
本紙としては、アジア開発の背後に「許振東」氏なる問題の人物の影を見、対象企業が仕手化したり、資産を無駄に食われることなどを懸念してウォッチしているが、そのことと“経済安保”は結びつかない。
万一、その懸念通り、新聞の発行が1日だけ止まったとしても生死に関わるわけでもなければ、社会的にそんなに大きな影響があるだろうか? 今や無料分の記事はネットで見れる。そして、そんな事態になれば、社会的制裁を一番受けるのはアジア開発側だ。
では、なぜここに来て、“経済安保”の観点が出て来たのか?

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