筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。
ジャン・ポール・ベルモンドが亡くなった(享年88歳)というニュースは、60~70年代の映画ファンにとっては、世界的大スターの死なんだけど、若い連中にとってはあんましピンとこないかも知れない。
ベルモンドといえば、あの頃のフランス映画界ではアラン・ドロンと並ぶ人気で、日本ではイケメンのドロンのほうが上だったが、フランスではベルモンドだったという。高校生の頃、テレビの洋画劇場で初めてゴダールの『勝手にしやがれ』を観て、ベルモンドに魅了されたもんだ。
大スターなのに、スタントマンを使わないで危険な撮影もなんのそので、のちの千葉真一、ジャッキー・チェン、トム・クルーズにも尊敬されていたというし、あのスティーヴ・マックイーンもライバルのように思っていたというから凄いもんだね。
ところで最近はパッとしないが、かつて映画といえばフランス映画だっていうくらい、全盛時代があった。ドロンにベルモンドという2大スターに、カトリーヌ・ドヌーヴやジャンヌ・モロー、ブリジット・バルドーといった大女優、ゴダールやトリュフォー、ルイ・マルら、ヌーヴェル・バーグといわれた映画監督の俊英が次々に登場し、こちとら映画少年(中学~高校)にとっても、あこがれたもんだよ。それに『禁じられた遊び』なんて不滅の名作(かつテーマ曲は不滅の名曲!)もあったよ。