本紙でも既報、また自社HPで3月6日に明らかにされているように、医療ベンチャー「テラ」(2191。JQ。東京都新宿区)とその関係先に証券取引等監視委員会(SESC)が金融商品取引法違反容疑で強制調査に入った。
それから約3カ月、現状はどんな状況なのか?
関係者から得た情報を明らかにしよう。
周知のように、テラは、やはり強制調査に入った「セネジェニックスジャパン」(CENEGENICS JAPAN)と20年4月27日に新型コロナの治療薬開発で業務提携したとIR。それまで100円台だった同社株価はコロナ禍のなか大きな話題を呼び急騰、同年6月8日高値2175円までなるも、6月12日発売の臨床試験に疑義ありとした『フライデー』記事の影響もあり、その後もメキシコで治療薬開発の第2相臨床試験の承認を得たとのIRなど出すも思うように株価は上がらず、同年8月以降は完全に下げに転じる。そして同年12月25日の子会社株譲渡決定を持ってコロナ治療薬開発から撤退。株価は以前に戻っている(冒頭写真)。
こうしたことから、本紙も、他のマスコミも、容疑は相場操縦ないし風説の流布ではないかと見ていた。
ところが、5月10日、セネジェニックスジャパンの竹森郁社長(横写真)がTV局の取材に応じたニュースが流れたが、強制調査時には「株価の動きが不自然にも見えることなどから2社(*テラとセネ社)が不正を行った可能性があると見て金商法違反の疑いで」となっていたのが、「インサイダー取引疑惑で強制調査」と金商法違反は同じでも、別の容疑をハッキリと報じているではないか。
しかも、竹森氏はインサイダー容疑についてもキッパリと否定している。
ある関係者はこう述べる。
「強制調査を受けた直後にテラがIRした『一部報道について』を見ると、“金融商品取引法違反の疑いで当社取引先等が強制調査を受けている関係先として強制調査を受けました”と、あたかも一番問題なのは名前こそ伏せているがセネジェニックスジャパンで、自社はそのセネ社の問題の裏づけで強制調査をやられてみたいな書き方です。ですが、強制調査は“令状”を持って来てやられるわけで、テラも容疑者。しかもインサイダーの件ではテラの平智之社長も調べを受けています。いずれにしろ、あのIRはひじょうに不正確で問題だと思います」。