アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<連載復活>「AJアラート」発令(第6回)「ファーストリテイリング」「カゴメ」「キリンホールディングス」

ここに来て、温暖化対策として脱炭素、EVシフトが連日のように報じられ、「SDGs」(持続可能な開発目標)が注目を集めているが、本紙の場合、その企業への指針である「ESG投資」の観点からわが国大企業を評価する連載をすでに3年半前に始めていたものの、ネタ不足と反響の少なさからわずか半年余り、連載5回だけで停止していた。
だが、世の関心が高まって来たので、再開することにした。
その再開第一弾のキーワードは「ウイグル自治区問題」における綿花と、「ミャンマーのクーデター」を起こした国軍と取引のある現地企業との関係で。

なお、この新連載では本紙独自のネットワークで入手した情報を元に分析し、上場企業それも主に大企業を対象に、「財務諸表から見えないリスク」(=ESG投資)の観点から、[ポジティブ](投資して安心)、[ニュートラル](?)、[ネガティブ](投資に不安)に3分類し、注目すべき各1社=計3社を取り上げている(1、2社だけの場合もある)。

この「AJアラート」発令の狙いについては、すでに<予告>を出し、そのなかで詳しく説明しているので、そちらをご覧いただきたい
なお、[ネガティブ]はむろんだが、[ニュートラル]も今後の変化次第では容易に[ネガティブ]指定になり得る。また、企業も“生き物”だから、今回は[ネガティブ]でも今後の状況次第では[ポジティブ]指定にもなり得る。当然、逆に[ポジティブ]に指定した企業が一転、[ネガティブ]になることもある。
したがって、1度取り上げても、その変化次第でほどなく再度、同じ企業を取り上げることもある。

[ネガティブ]「ファーストリテイリング」
柳井正会長兼社長率いる世界3位のSPA(製造小売業)である「ファーストリテイリング」(9983。東証1部。香港。山口市)。「ユニクロ」を世界展開しているのはご存じの通り。
中国・新彊ウイグル自治区での人権問題は20年3月、国際NGOがウイグルなど少数民族を綿花畑で強制労働させていると指摘したことに始まる。同年7月には在外ウイグル人団体などがその疑惑があり、「大手衣料ブランドは新彊地区をサプライチェーンから外すべき」と声明を出していた。そして今年に入り一段と注目が高まり、3月にはEUや米国が相次いで中国当局者に対して欧米に保有する資産凍結などの制裁を科した。これに対し中国も対抗措置を打ち出し、緊張が高まっている。
こうしたなか、わが国だけは制裁を行っておらず、どっちつかずなのはわが国企業も同じ。
スウェーデンの衣料品大手「H&M」はとっくに新彊産綿花を調達しない方針を示唆しているが、柳井氏は4月8日の決算会見で、新彊産綿花の使用の有無や人権問題への見解を複数の記者から聞かれたが「ノーコメント」で通した。
もっとも、これに対し同情論もないわけではない。
中国の綿花生産はインドに次ぎ世界2位。しかも、中国産綿花の9割が新彊産。その品質は高いことから、世界の大手衣料ブランドの多くがその世話になっている。
しかもユニクロの場合、H&Mが5%程度に対し、中国に「ユニクロ」を800店舗も展開しており全体売上高の3割も占める。H&Mのように批判的声明を出せば不買運動が起き、その影響はH&Mの比ではないのだ。

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