アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<記事紹介>「日の丸ワクチン・薬」が世界80億人を救う(『週刊新潮』5月7・14日GW特大号)

現在、発売中の『週刊新潮』は巻頭で、「『コロナ』光と影」という10頁の大特集をしている。
そのなかに「『日の丸ワクチン・薬』が世界80億人を救う」とのタイトルの1頁ほどの記事がある(冒頭写真)。
そこでは「イベルメクチン」という薬と共に、「アンジェス」(4563。マザーズ。大阪府茨木市)と阪大の森下竜一教授が開発を進める予防ワクチンが、新型コロナに効くのではないかとの記事が出ているのだが、こちらのワクチン、本紙としては疑問視せざるを得ない。
まずは、本紙が4月9日に報じた「『アンジェス』、新型コロナウイルス予防ワクチン開発のきな臭さ」というタイトル記事に目を通していただきたい。
 ここでも述べているように、このマザーズ上場企業、「継続前提に重要事象」で経営が“危ない”ところだが、3月5日、この予防ワクチン開発をぶち上げたことですでに株価は4倍以上になっている。
問題は、そのIR前にすでにその件が漏れていたインサイダー疑惑
さらに森下教授は、あの「加計問題」の舞台になった国家戦略特区会議の前段の具体的な規制改革を検討する規制改革推進会議委員を務め、加計問題浮上の際に国会でも取り上げられた加計理事長、安倍首相、萩生田光一文科相が安倍首相の別荘でビールを飲みながら歓談していた写真(上右写真)、その際、この3人らと近くのゴルフ場でのコンペに参加している仲である事実。
また、世間を騒がせたノバル社の降圧剤「ディオバン」のデータ不正、それを調べる第3者委員会の委員になりながら、委員就任直後にノバル社から1300万円の寄付を受けているまさに疑惑の人物なのだ。
ところが、この新潮記事ではこうした事実がまったく伏せられ、「日の丸ワクチン」?

 さらにいうと、森下教授(横写真)は前述の内閣府規制改革推進会議の前身である規制会議委員に2013年に就任しており、そこで特区制度を使い実現させたのが機能性食品制度(15年4月からスタート)。
それまで健康食品(サプリメント)などの効果を謳えるものとしてはトクホ(特定保健用食品)があった。
しかし、トクホとして認められるには「ランダム化比較試験」(RTC)という臨床試験で効果が確認されなければならなかった。ところが、機能性食品ではその必要はなく、過去の他社の論文などを流用した「研究レビュー」だけでOK。
トクホは国の審査で許可を受けないといけないが、機能性食品はこの研究レビューを届けるだけでいい。ただし、トクホで何か問題があれば国の責任だが、機能性食品はそれを出した事業者の責任。
 この機能性食品制度を健康医療戦略本部戦略参与して中心になり実現させた森下氏は、その目的を「健康食品の機能性表示を進めることが、国民の健康増進や関連産業の育成に役立つのではないかと提言」していた。
確かに、トクホの許可を得るためには臨床試験のため最低数千万円のコストがかかるので大企業しかトクホ商品を出せないが、機能性食品なら中小企業でも可能だからそうした関連産業の育成には役立つだろう。
だが、そもそも健康食品の有効成分はほとんど体内に吸収されず尿と一緒に出るのに対し、一般食品で摂る場合は他の微量成分の助けもあり吸収力がいい。しかも健康食品多量摂取による副作用の問題などもあり、本気で国民の健康増進を考えるなら健康食品の効果を安易に謳うことがいいなどとはまともな研究者なら口にしないだろう。
 実際、この機能性食品制度には消費者団体などから強い懸念の声が起き、業界紙記者からさえ、「(検討会議の)一部委員が利害関係者に該当するのではないか?」、「機能性表示食品制度の届け出に必要な研究レポートを請け負う協会の副理事長を務める大学教授や、機能性表示食品を販売する企業の副社長がワーキング・グループのメンバーになっている」などという疑義まで出たという。(横写真=アンジェスの株価チャート)
実際、この機能性食品制度は経済産業省が推進。そう、当時から安倍政権下で、その安倍政権は別名「経産省内閣」ともいわれるのはご存じの通り。側近の今井尚哉・首相補佐官兼首相秘書官(政務)も同省出身だ。
要するに、機能性食品制度は国民のためではなく、経産省の利権となり、そのお先棒を担いだのが森下教示との見方さえある。
そして、今回の新型コロナに効く予防ワクチン開発。
確かにこの「日の丸ワクチン」、アンジェスの3月5日後のIRを確認すると、「タカラバイオ」(4974。東証1部。滋賀県草津市)が共同参入するなど実現に向け順調であるようだ。
IR通りなら、本当にワクチン開発に成功するかも知れない。そして、それはそれで素晴らしいことだ。
だが、本紙が述べたようなマイナスの事実も一緒に読者に提供するのは報道でいうもので、そうでないならただの「ヨイショ記事」ではないのか?

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