アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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地方公共団体の新築建物工事にプロポーザル方式(随意契約)は問題ーー大阪府茨木市でも「市民会館」建て替え巡り論議に

大阪府茨木市の市長選は任期満了に伴ない、4月5日(日)公示、4月12日(日)投票で争われる。
現職の福岡洋一氏(44。無所属。弁護士。1期。冒頭左写真)と、新人の寺元博昭氏(58。元内閣官房内閣参事官。同右写真)の実質一騎打ちとなると見られるが、この選挙では「市民会館」建て替え工事(設計・建築費で152億80000万円)の是非が大きな争点になると見られている。
市のシンボル的存在だった市民会館(下右写真)は老朽化が著しく、すでに2015年に閉館。取り壊れているなか、新たな市民の集いの場が要望されていた。そうしたなか、選挙直前に建て替え工事の決定となったことから、現市長が実績作りを急いだ結果との見方も出ていた。ところが、逆にこの建て替え工事には複数の問題があるとの見方が出て来ているからだ。
この建て替え工事の受注は、公募型の「プロポーザル方式」(=随意契約)で決定した。
“プロポーザル”とは「企画、提案」の意味。
公共工事は我々の税金で賄われるからできるだけ安くしたいということで、原則は一般競争入札が取られている。
しかし、この市民会館建て替えでは質の高い建物を建設すべく設計・施工を一括して発注するDB(デザインビルド)方式が採用された上、安かろう・悪かろうでは元も子もないということで、公募して来た、ジョイントした設計者と建設会社の「企画案」(全部で3者)を事業者選定委員会が、その設計のデザイン性、機能性などに加え、施工計画の効率性、安全性なども採点し、その総合点数が一番高い「竹中工務店」と「伊藤豊雄建設設計事務所」の共同企業体を今年1月18日に選んだ(そして2月14日仮契約。議会承認を経て3月3日本契約に)。
 本紙が今回、茨木市の件をわざわざ取り上げるのは、このプロポーザル方式、穿った見方をすれば、自治体(+選定委員会)と受注する側が癒着していれば、一般競争入札と違って高値で落札でき旨味が大きいものの、その癒着を見抜くのは容易ではないと思っていたところ、後述するように、そもそもよほど例外のケースでない限り、このプロポーザル方式は罷りならんとの総務省の言質を反対派が取っていたことがわかったことが一番大きい。
というのも、本紙では過去、同じくプロポーザル方式を取った東京都は世田谷区役所の建て替え工事、大阪府堺市の市有地賃貸、さらに土地払い下げのケース(大阪市、天理市、習志野市)に関する疑惑を取り上げているが、その際の本紙の指摘通り、これらのケースもそもそもプロポーザルを取る必要性がなく、結局、この方式の目的は受注した業者に仕事を(高値で)取らせたかったということではないかとの疑惑の有力な根拠となり得ると見るからだ。
しかも、この茨木市の市民会館建て替えの受注を巡っては、市長と事業者選定委員会のメンバー、受注者側との癒着を物語る物証もあるという。

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