今年3月、大手マスコミは、芸能プロダクション「ミューズコミュニケーション」(東京都目黒区。登記は世田谷区)が、約3年間で約3億円の所得を隠し、約9000万円を脱税していたとして、東京国税局が法人税法違反の疑いで、同社と中川雅雄社長を東京地検に告発していたことがわかったと、一斉に報じていた。
関連会社「メディアミックス」(同住所。中川社長)の口座に売上の一部を振り込ませて隠蔽したり、別会社に業務委託したように架空取引を行うなどして所得を隠していた模様だという。
これだけ聞けば、よくある脱税疑惑の一つに過ぎない。だが、当局はこの脱税疑惑を契機に、どうやら遠藤日出樹氏の犯罪疑惑に迫ろうとしているようなのだ。
遠藤氏といっても、一般の読者はご存じないかも知れない。東証1部「エイベックス・グループ・ホールディングス」(本社・東京都港区)の主要子会社「エイベックス・エンタテインメント」の社長室長の肩書きに止まらず、実質、エイベックスの広報活動全体を仕切る、松浦勝人社長の側近の一人で、松浦社長が「三顧の礼」を持って招いたとも。
それだけに、本紙既報のように、室長といっても社員であるにも拘わらず、数多くの芸能関連事務所の経営も兼務できるのだろう。そして、遠藤氏は役員には名を連ねていないものの、実質、冒頭のミューズコミュニケーションも彼の系列会社と当局は見ているようだ(冒頭写真=押尾事件に関する「相関図」の一部。信用調査会社資料によれば、そこに登場する「エヌアンドエス(N&S)プロモーション」も前出ミューズ、メディアと同居していたとのこと)。