
本紙では、大手買取専門店「買取大吉」(経営は「エンパワー」。東京都新宿区)のオーナー・青山清利被告(冒頭右写真。51)が未公開株詐欺で服役中であることを報道。さらに、その青山被告が大吉の経営にも深く関与している模様であることを報じた。
そんななか、三重県津市在住のK氏(70代)から、大吉「名西店」(名古屋市西区)に大量の鑑定品を持ち込んだところ、総額200万円相当の被害に会ったとの情報が本紙に寄せられ、また最寄り警察署が被害届を受理するということから、その件を昨年10月に報じたばかり。
確かに、どんな会社にも不良社員がいてもおかしくはない。
だが、本紙としては、こうしたトラブルが起きるのは個人的な問題からではなく、経営にも関与する青山オーナーが詐欺事件で服役中という会社故、青山服役囚の体質が反映されそのようなことが起こり得るのでは、という観点から注意喚起すべく報じた。
そうしたところ、もっとそうと思わないわけにはいかない事例が本紙に寄せられたので追加報道する。
今回の被害者は千葉県在住の50代と60代のS夫婦だ。
奥さんの方の実家が裕福で、S妻は多数の腕時計やネックレスなどを所有。それで使わない分を処分しようとしたという。
買取大吉は出張買取もやっている(右下写真。大吉のHPより)。
S夫婦の場合、近くに買取店舗がないというより、コロナ後遺症で2人共、今も体調を崩していることから出張買取を希望し、K社員(査定人)が一人で自宅にやって来たのは2025年8月8日のことだった。
S夫婦は5匹の犬を飼っている。
犬(動物)アレルギーの人がおり、最悪、生命に関わることもある。そこで、S夫婦は事前に大吉側に犬を飼っていることを告げ、大丈夫ということでK社員がやって来た。
「玄関に椅子を出し、そこでの査定となったのですが、玄関を入るなりマスクもせずセキ込み出し(S夫婦は免疫力も弱っており、なおさらマスクをして欲しかったと)、風邪かと問うと、事前に伝えていたのに、“犬の家はダメ”だと。
それだけではありません。約束の時間より2時間も遅れて来て、“すいません”の一言もなければ(遅れるとの連絡はあったというが)、名前を名乗らない、名刺も出さない、古物証明書も出さない」(S妻)
S夫婦は鑑定に備え、段ボール箱に多数の時計やネックレスなどをまとめておいたところ、K社員はその箱全体の写真を1枚だけ取り、わずか1分ほどで外に出て10~15分ほどの長電話。戻って来て「査定します!」と告げたものの、S夫婦が金の喜平ネックレスを見せると、それを手に取り磁石に当て、くっついたところを見せ、「これは偽物!」と言ったという。
なお、「喜平ネックレス」とは鎖の輪を90度ひねって押しつぶし、表面が平に並んだデザインのネックレスを指す。金やプラチナが主流で、流行に左右されない定番アイテムで資産価値は高い。そして、ほどなくS夫婦はこのネックレスをいい値で他店で売却している。むろん本物だった。
しかもK社員、箱に入った時計についても、そのなかにはローレックスはなく、バレンチノなどだったのだが、一つ一つ手に取ることすらせず、一瞥し、「すべてローレックスの模造品ですね!」と告げたというのだ。
そんなわけだから、S夫婦が査定をやってもらう気にならなくなったのは当然(本紙・山岡ならその無礼ぶりに激怒し追い出すが)で、結局、都合30分ほどでK社員は帰っていったという。むろん、S夫婦は何も売却していない。
なお、S夫婦がK社員の名前を知ったのは、こうした余りに無礼かつ本物を模造品と告げる詐欺的、そして屈辱的な対応を看過できず、エンパワーにすぐ電話し、責任者を出してくれといったところ、ゼネラルマネージャー(GM)を名乗るU氏が対応。そのU氏から間違いなくうちの正社員と聞いた結果。
S夫婦は、そのUGMとの実に3時間近くの電話でやり取りの音声記録を録音していた。本紙はそれを聞いた上で、この記事を書いている。
そして、その会話のなかで、UGMはK社員が身分を名乗らなかったことなどを認め、再教育を約束。さらに、K社員につき「謹慎というかたちで、もう現場には出させない。これはもう決定しています」と述べている。
だが、S夫婦がもっと問題にしているのは、本物を、磁石にくっつけて見せるという手品のようなことをやり、ただ同然で買い取ろうとした詐欺疑惑。
この疑惑を追及したことから、3時間近くもの会話となったのだった。
「私はKが磁石で喜平ネックレス(左写真。このようなデザインをいう)をくっつけた行為は詐欺未遂の犯罪と思っています。なぜなら、Kは『2000円でなら買い取ります』といったからです」(S妻。以下、カッコ内同)
S夫婦は人脈があり、8月8日の件があった後、直ちに他の既知の買取業者に相談。さらに、かつて買取大吉に勤めていた人にも意見を求めている。
その結果、「買取業者は偽物は買い取らない」、「それが大吉の手口」という言質を得たという。そのことは、約3時間の会話のなかでUGMにも伝えている。
「私はすごく視力も記憶力もいい。だから、磁石でくっついた喜平ネックレスのことをよく覚えていますが、あるはずの刻印がそこにはなかった。ですから、手口はわかりませんが、手品のように、偽物(鉄の)とすり替えたのだと思っています」(同)
S夫婦がK社員の偽物との言葉を信じれば、安く売る可能性がある。となれば、買取大吉側は安くとも10万円以上の品を2000円で買えるのだから大儲けだ。
実はS夫婦、8月8日の半年程前に18Kネックレスを一つだけ別の大吉社員T氏に売っていた。そのT氏は感じのいい社員で、偽物といわれることもなく、十分満足いく価格で買い取ってもらっていた。
そんななか、大吉側からまとめて売らないかとの営業電話がS氏妻の携帯電話に。その際、電話して来た者は「ロレックスや、ルイ・ヴィトンのエピ(右横写真=麦畑をイメージした線状の型押しが特色のレザーライン)のバック持ってましたよね」と聞き、S妻は何で自分の情報を知っているのかと怪訝な思いをしたという。だが、今思えば、T氏が来た際に話した情報が共有されており、K氏個人ではなく、会社ぐるみで、すべて偽物といい、まとめて安く買い取ろうとした可能性もあるのではないかと見る。
S夫婦がそう思うのは、K氏が8月8日に来て帰っていった際、すぐS妻にK氏から電話があったそうだが、前出の元大吉社員によれば、「それは会社としての手口で、偽物といった際、再度、それでも買い取りますよと念押しすることになっている」旨、聞いたからだという。
ところが、前出・UGMがK氏に確認したという話によれば、K氏は「次の客にかけるつもりが間違えて(S妻に)かけた」と言っているとのこと(むろん、その発言は3時間近い音声記録でも確認できる)。
「しかし、それはウソです。Kが帰り際に電話して来た時、私は他の人と会話中だったので、キャッチホンで、今電話中だとKに直に伝えています。その際、Kは『間違えました』といっていないからです」(S氏妻)
さらにいえば、K氏がS夫婦宅から去る際、S氏妻は東京オリンピック(1964年)と沖縄での国際海洋博覧会(1975年)の記念コイン(左写真。S夫婦提供)を見せているが、K氏はこれも一瞥しただけで「金メッキ」といったという。だが、S妻によれば、この両コインの材質は銅とのこと。何でも「金は偽物」というつもりで来ているからそんな発言になったのか? それとも、端っから鑑定眼など皆無のド素人故か。
これだけ聞けば、もう十分だろうから詳しくは言わないが、UGMのK氏から聞き取ったという言い分によれば、K氏がS夫婦宅で撮ったという写真を1枚だけ見せられたという。だが、それは冒頭で述べたように、S夫婦が用意していた段ボール箱全体ではなく、ハミルトンの時計とのことだが、S夫婦はその時計を見せていないので写真を撮れるわけがなく、ここでもウソを付いていると断言する。
以上の通りで、S夫婦は身分等を名乗らなかった謹慎処分だけでは納得できず、K氏個人ないし組織的な詐欺未遂疑惑を追及し、追加調査を要求したのだが、UGMは、「証拠がない」からと調査を否定。K氏からもらったという写真を見せてくれとの要求さえも断り、そんなにいうなら「訴えてもらっていいです」(UGM)(*この発言もむろん録音にある)。
「『訴えてもらっていい』って、開き直りのような言葉じゃない。今回の件はK君だけで済む話ではないの。会社全体で考えないと。私は被害なかったからいいが。そこら辺、重く受け止めてもらわないと」(S夫)
「買取屋さんが何で偽物を2000円で買い取るというの? その時点で怪しいですよね。そして、大吉の元社員の人が『それが手口です』といってくれているんです。その元社員の方は、それが嫌で大吉を辞めたそうです」(S妻)。
S夫婦は必死で訴えたが、大吉側はそれを真摯に受け止める気はないようだ。



