本紙で適時報じている「渋谷区・東急官製談合疑惑」(YouTube版はこちら)--渋谷区が、区役所前の区道2本(680㎡)を廃止して提供、さらに隣接する神南小学校の「空中権」まで与え、容積率を増やして上げ(500→1000%)、同じく区道に隣接する民間マンション「渋谷ホームズ」を現在の13階建てから34階建てのタワマンに建て替えさせてあげる。
本来なら、それだけ区が協力してあげるのだから、公的貢献として、この建て替えによるマンション販売で大儲け出来る東急不動産(建設は「清水建設」)は、神南小学校の建て替え費用を全額負担、また新・渋谷ホームズの一部を公共施設にするなどの案があったが、渋谷ホームズの区分所有者達に過重な負担を与えることが明確になって来たのかほとんど撤回。区分所有者たちへの負担を見直して、この度は渋谷区の取り分を召し上げて区分所有者達に分配する案を出して来た。しかも、当初案では既存の渋谷ホームズ地権者は35%も狭い部屋を当てがわれるなど、容積率が500%から1000%へ倍増し、土一升金一升の立地にもかかわらず、どう考えても東急不動産達の儲けのためだけに進められていると思わざるを得ないからだ。
この渋谷ホームズの地権者の一人、ウラベ氏は資産家で、たくさんの不動産投資を通じてその方面の法的知識に詳しい。
そこで、登場してもらった本紙YouTube版の①(右下写真)では、そもそもこの計画を進めるに当たっては法的に「第一種市街地再開発方式」を選ぶには渋谷ホームズ地権者全員の同意がいるのに、そうなっていない(ウラベ氏、その他にも同意してない人がいる)ことを解説してもらった。
ところが、東急側は儲けを公表せずにポッポに入れられる「第一種市街地再開発」手法のまま、全員の合意は必要ないとしてこの計画を強行。監督官庁の渋谷区と一体になって、官製談合をつき進めているように見える。
そして、まさか官製談合・虚偽申請とは知らないだろう渋谷区→東京都の認可がついに下り、今年9月には正式に「公園通り西地区市街地再開発組合」が認可され、予定では来年度には渋谷ホームズ解体着手。2032年度には新・渋谷ホームズが竣工する。
こうしたなか、本紙YouTube版にウラベ氏に再度登場(インタビュー②。*ココをクリックすれば観えます。無料)してもらったのは、①での渋谷ホームズ地権者全員の同意以外にも、このままでは法的に大きな問題が他にも2つあると。さらに、区議会でも東京都の認可が下りたにも拘わらず、疑義を呈する動きが出て来るとの情報をもらったからだ。
〇法的問題の1つは、「通行地役権」に関すること
これは一般には、自分の土地(要役地)の利便性を高めるために他人の土地(承役地)を通行する権利のこと。
ウラベ氏によれば、他人の土地には区道も含まれ、ポイントは20年継続して通行し続けた場合、時効により、通行地役権を取得できるという点。1977年完成の渋谷ホームズ周辺の四方道路は、渋谷区所有の区道二本は周りの方々にも地役権が時効で取得されている。
簡単に言うと、廃道になる区道は半世紀以上使われていたから、それを使っていた区民らが使役権を主張すれば廃道に出来ないというのだ。
〇法的問題の2つ目は、「事業用資産の買い換えの圧縮記帳」と「同価」に関して
国庫補助金や工事負担金等で固定資産(不動産)を取得した場合、事業用資産として暦年で五年以上保有していた不動産を譲渡した場合、通常は課税対象となるところ、税務署が認める諸条件をすべて満たせば、特例で不動産を売却して買い替えても不動産の売却を一旦なかったものとして、従前の不動産から従後の不動産に買い換えても、従後の不動産を将来売却する時まで課税を繰り延べする決まりだ(「同価」の場合、課税を「ゼロに圧縮できる)。
渋谷ホームズの建て替えについては、事業用資産の圧縮記帳に準じた優遇がある。渋谷ホームズの業者が、舌しか使わずに開発利益のほとんどを我が物にして、区分所有者は下手をすると利益どころか損をするスキームでは、税務署がどちらかに更正処分をした暁には、両方の節税スキームは同時にパーになる。儲けるどころか損をする。
ところが、この渋谷ホームズの地権者の場合、東急側は、地権者の今の部屋と、建て替え後の部屋は「同価」にすると主張しているが、前述のように、部屋面積は35%も減り、しかもなぜか東急側との間で地権者はすでに54億円出捐していることになっていることなどから、土地も経費も出さない継承人の東急側だけが大儲けし、地権者には巨額の課税が来るという。
54億円の出捐金は、ウラベ氏曰く、本藤武史「公園通り西市街地再開発準備組合」理事長が出捐し、渋谷ホームズ管理組合は既存するのに、新たに渋谷ホームズ建て替え組合が設立されて、盛大に解散式と設立式が執り行われたそうだ。ここで税務署からの見方を解説すると、「一筆書き」がひじょうに大事だそうだ。東急側顧問弁護士によれば、「公園通り西市街地再開発準備組合」は法人格があり、設立されていた間の双務契約はすべて有効だそうだ。だが、理事長の定めがある準備組合は、カラオケ同好会のようなもので、一切の双務契約が結べないし、法人格はない。すなわち本藤理事長は、準備組合による54億円の出捐金を、管理組合にも、建て替え組合にもつけまわしは出来ない。54億円は、公園通り西市街地再開発準備組合に対する「債務免除」と認定される可能性が高い。その場合、この金額だと最高税率55%の贈与税の申告納税義務は、理事長たる本藤氏にかかるだろう。
不動産侵奪・資金洗浄・官製談合は言うまでもなく違法行為なので、司直の一角である公正取引委員会は、課徴金を想定工事費の1割と定めているが、渋谷ホームズの建て替えには現時点で1300億円以上が見込まれているところ、清水建設は過去10年内に2度以上課徴金を課せられているので、1割ではなくもっと課せられるだろう。違法行為での課徴金賦課は、株主財産の棄損に当たり、清水建設・東急不動産の全役員は株主に対して責任を負っているので、株主代表訴訟で個人的に責任を問われ得ることになるとも。
この場合、「損金不算入」とされるので、経費は一切認められず、税引き後の金品で支払わなければならない。
〇そして、前述の「区議会でも東京都の認可が下りたにも拘わらず、疑義を呈する動きが出て来る」というのは、「交通・公有地問題特別委員会」委員長でもある堀切稔仁・渋谷区議のことを指す。
堀切氏が委員長を務める同委員会は、まさにこの疑惑を対象とするところ。
ウラベ氏が訴えたところ、確かにこの建て替え計画、渋谷区にとっても、また地権者にとっても益に成らない疑義があるとして、すでに東京都が認可を下ろしているものの、それでも同委員会で取り上げたいと語ったというのだ。
以上、専門的な用語や知識に関する話で、本紙もよく理解できていないため、ウラベ氏のインタビュー②(*ココをクリック。無料)は視聴者もよく理解できないかも知れないが、今後も適時取り上げるなかで勉強し、補足していくので、何卒ご容赦願いたい。



