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本紙YouTube版「渋谷区・東急官製談合疑惑」連載⑤=ウラベ氏、「渋谷ホームズ建替には区分所有者全員の合意が必要!」(解説)

 本紙アクセスジャーナルYouTube版では、渋谷区と東急不動産との官製談合疑惑につき連載を始め、今回で5回目(*ココをクリックすれば観えます。無料)になる。
この疑惑とは、現在、渋谷区役所のすぐ横に建つ「渋谷ホームズ」という14階建民間マンションを34階建にする計画が、東急不動産をディべロッパーに進められている
これだけ高層階に立替えるためには渋谷区の協力が必要で、すぐ横の区立「神南小学校」の”空中権”(低い校舎と建物がない広い校庭があるので、高く建てれる利権が余っている)を渋谷ホームズは譲ってもらう。そのためには、小学校と渋谷ホームズの敷地が接している必要があるので、その間の区道を廃止する(右下写真の赤線部分)。さらに、その廃止した区道の土地の所有権を渋谷ホームズに譲渡し敷地を広くし、さらに区が「高度利用地区」に指定することで可能と説明されて来た。
 問題は、そこまで区が協力するとなると当然、公共貢献(区側への見返り)すべき。それで東急側は神南小学校の建替工事費を負担するといっていたが、いつしか全額が80億円だけに。区側が毀損する資産額は300億円近く、最大500億円という見方もあるのにだ。また、区道廃止により障害者や高齢者が区役所正面玄関前まで車で乗り付けれなくなるなど、金額に反映できにくい公共の利害も大きく毀損する。
要するに、東急側を余りに大きく利すると思われることから、渋谷区長・長谷部健氏を被告に、「地区計画変更・再開発事業決定・高度利用地区変更に係る差止請求」、「区道廃止差止請求」の両行政訴訟が提起されている。そこで、このYouTube連載第2~4回は、渋谷区民で、この両行政訴訟の前者の原告、後者11名原告の代表を務める不動産鑑定士・森口英晴氏に登場いただき、区の進めるこの計画の異常さにつき解説してもらった
 ところが、連載5回目の今回登場してもらった、この渋谷ホームズの区分所有者である「ウラベ」氏は、この計画はもっと異常で、犯罪に抵触し得るという。
そもそも、この渋谷ホームズの敷地は4000㎡以上あり、四方を道路に囲まれ、商業地であるから、この間の規制緩和により、この土地の2割を”公開空地”とすれば、渋谷ホームズ単独で32階まで建てられると、渋谷区の担当部署に言われたというのだ。
現在、区が協力して進められている建替工事の34階と、たった2階しか違わない、では、なぜそれにも拘わらず区の協力を得てやるのか?
というのは、ウラベ氏によれば、その場合、本来は渋谷ホームズ区分所有者の100%合意が入り、実質、建替は不可能なところを、区分所有者の5分の4以上の合意があればマンション建替は可能という区分所有法適用で欺罔(騙すこと)により事を勧めようとしているからだ。
逆に言えば、何を根拠に、ウラベ氏は100%の合意が必要というのか?
 ウラベ氏によれば、この渋谷ホームズの場所、そもそも国有地で、それをタダで渋谷区が譲り受け、同地にはかつて公団住宅(現在のUR都市機構)「宇田川住宅団地」が建設され(90戸)、昭和31(1956)年に入居開始。入居者は抽選で選ばれた。現在の渋谷ホームズは、その公団住宅を建替えたもの(75年入居。273戸。店舗が7戸)。
そして、元国有地で、区が無償で譲り受けた経緯もあり、この建替に際しては入居者全員の同意を得る必要があるし、等価交換方式(左上写真=明治学院大法学部講師・竹田智志氏記事より)であるべきという。
実際、公団から現在の渋谷ホームズへの建替時、公団時の入居者の部屋の広さは1戸44㎡だったのが64㎡と約4割も増えたと言う。ところが、今回の建替では、すでに約35%部屋の広さが減ることが決まっているという。
 要約すると、「区分所有法は区分所有者5分の4以上の賛成でよく、その場合、等価交換でなくていい。区分所有者にしても、高級タワマンに生まれ変わり、その分、不動産価値が上がるので、区分所有の権利(広さ)が減ってもやむ負えないと思っている。
東急側が建設費を負担するが、だから東急側にすれば、高層化するほど部屋数が増え、これまでの区分所有者の部屋数を引いた分は売却できるから儲けが大きくなる。20階も高層になれば、これまでの区分所有者に同じ広さ以上与えても東急側は大儲けだが、強欲だから35%減ると言っているんです」ということだ。
しかも、ウラベ氏によれば、渋谷ホームズを34階建にするには、渋谷ホームズと神南小学校の間の区道廃止だけでよく、にも拘わらず、公園通りから区役所正面玄関の区道まで廃するのは、この区道を挟んで渋谷ホームズと接する渋谷公会堂も神南小学校同様、空中権に余裕があるので、今後、渋谷ホームズを34階よりもっと高層化するとの変更もあり得ると見るのだが。
(上写真=右建物が渋谷公会堂、左建物が渋谷ホームズ、中央奥の建物が渋谷区役所)

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