昨年9月24日、東京都渋谷区の住民11人が渋谷区を相手取り、区道廃止は違法だとして、廃止処分の差し止を求める訴えを東京地裁に起こした(*1月17日に第1回口頭弁論あり)。
原告で不動産鑑定士の森口英晴氏は、区道が廃止されると、「タクシーを使えば、これまで1人で区役所に行けていた高齢者や障害者が、今後は介護者なしでは行けなくなる」などと訴えた。
そして、区道の廃止処分は「一般交通の用に供する必要がなくなった場合」と廃止理由を定めた道路法に違反するなどと主張している。
右下に転載した図を見ていただきたい。
赤色マーカー部分が廃止される区道部分。
そして、この図の左上に「区役所」と記されているが、ここが正面玄関になる。
だが、本紙は最初、その話を聞いた時にピンと来なかった。
なぜなら、まさか区役所の正面玄関前の区道を全部廃止にするなどあり得ない話で、廃止にするのはこの正面玄関に通じる区道の一部だけ、つまり区道の道幅が狭くなるだけだと思っていたからだ。ところが、森口氏に話を聞くと全部だと。
これではオーバーにいえば、自宅(区役所)前の道を自ら塞いで入れないようにするようなものではないか(実際は区役所には裏口があり、そちらから入れるが)。
冒頭写真のように、区役所の正面玄関に至る区道は狭く、図の公会堂との間の余ったように見える白色の部分は舗道。
廃止した区道部分は、歩行者専用になるので通れなくなるわけではない。だが、右側の大きな道路(公園通り)で車を下り、歩かなくてはならなくなる、だから、高齢者や障害者は一人で来れなくなるというわけだ。
区民のための役所、それも高齢者などの弱者には本来より配慮すべき渋谷区が、なぜ、こんな公共の利害に反することをやるのか? あり得ない話だ。
以下に、区の主張する建前上の理由を紹介する。