学業優秀であるものの、経済的理由で学校に通いたくても通えない者は未だ少なくない。
そこで、そうした者に奨学金を給付、貸与等する一般財団法人Xが2017年9月、東京都中央区に設立された。
ところが、このXの設立に関わった経緯もありXの会計担当者、また、Xの100%子会社である株式会社Y社(東京都中野区)の会計監査人になり、X、Y社名義の銀行預金口座の通帳、キャッシュカード、銀行印、代表印などを管理・保管していたことを奇貨とし、Xから合計6億7653万1100円もの資金を自分の個人口座、または個人が代表を務める会社2社、さらには自分所有の不動産に設定された抵当権者の銀行口座に不正に送金し、横領した疑惑が浮上している。
横領事件は珍しくないが、この疑惑の者が公認会計士(冒頭写真=公認会計士のバッチ)で、しかも東証プライム上場企業の取締役にも就いているとなれば、さすがに驚きではないだろうか。
仮にこの公認会計士をZ氏としよう。
Z氏は2022年4月、東京都港区虎ノ門にある高級マンション(右写真)の一部屋(約102㎡)を購入している。その際、ある会社との間で金銭消費貸借抵当権設定契約書が結ばれ、同物件に3億円の抵当権が設定された。ところが、Xからこの抵当権者のみずほ銀行飯田橋支店の普通預金口座に同日弁済を原因に、同年8月13日付でこの3億円の抵当権が抹消されている。
本紙がこの疑惑を、この公認会計士Z氏の実名を下記に上げて報じるのは、この不正に気付いたXが、Z氏を相手取り仮差押命令申立。それが今年8月7日に認められているからだ。
それだけではない。
Xの代表理事A氏(当時)によれば、Z氏と連絡が取れない期間が続き、不審に思い、今年7月、XとY社の通帳を銀行で再発行してもらい、その不正送金の記録が取れた上、XとZ氏との間で、これら送金の契約書もなければ、XまたはA氏が送金を指示したり、承認したことも一切ないとの証言も得ているからだ。
そこで、本紙はこうした事実をZ氏に質問状を出して問うた。
その際、実はY社の地上7階地下1階の本社ビルも今年8月に転売され、その売却代金も行方不明となっており、その件も問うた。この分も含めれば、横領疑惑の総額は10億円を超えるかも知れない。
本紙としては、こうした事実に基づく以上、Z氏はどんな言い訳をして来るのかと思ったら、何と個別の質問に関しては弁護士から控えるように言われているとして答えず、逆にこれからX側は「旧理事であるA氏らに対し、Y社本社ビル売却の件も含め、訴訟等で責任追及していく」旨、FAX文書で回答して来た。
これは一体、どういうことなのか?



