アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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怪文書登場で中止になった「シンシア」TOB――インサイダーや相場操縦疑惑。ホリエモン関与説も(3)

 本紙は7月30日、コンタクトレンズ製造・卸「シンシア」(7782。東証スタンダード。東京都文京区)を、X社(東京都港区)という携帯電話販売代理店などを行う企業がTOB(株式公開買付)する動きがあったが、5月半ば、この計画は中止に。それだけでなく、その前、今年3月下旬まで400円台で推移していたシンシアの株価が急騰し5月15日高値899円と2倍近くに。ところが、TOB中止に連動してだろう、翌16日には一挙に605円(終値)まで下落。急騰は、このTOBのインサイダー情報が漏れ、シンシア株を事前に買うだけでなく、これに便乗して相場操縦をしていたのではないかとの疑惑などを記した「怪文書」が登場。そこには、ホリエモンこと堀江貴文氏の関与も記されていたことも報じた
本紙ではこの7月30日の第1弾記事を出した後、TOBしようとしていたX社に質問状を出し、これら疑惑につき質したが実質、取材拒否。
そのため、8月14日、このX社とは「エックスモバイル」(東京都港区。木野将徳代表=冒頭写真右人物)のことだと明かし、X社の「回答書」と、本紙の出した「質問状」を公開した第2弾記事を出した
そうしたところ、8月19日、エックスモバイルの関連業務に携わっているという本紙・山岡と面識があるA氏から本紙・山岡の個人メールに、①本紙の報道内容はほとんど誤っているのでエックスモバイルは訴訟準備をしている。②しかし、自分とは旧知の関係だから円満解決を望んでいる。③したがって、速やかに記事の削除などをして欲しい旨の通知が(右横写真) 。
 実に不可解かつ怪しい内容なので、本紙は再度、8月22日、エックスモバイルの木野代表宛に、①A氏とはどういう関係なのか(A氏に依頼したのか?)、②このA氏の見解=エックスモバイルの見解なのか、の2点の質問状を出した(左横写真)。
だが、回答期限の8月28日午後6時を過ぎた現在も、エックスモバイルからは回答はむろん、何ら連絡はない。
本紙は、本紙が報じた記事内容は基本的に間違っていないと思っている。
しかし、TOBやファンド組成に関する専門的な内容が含まれることから、それに精通するというA氏が一方的に本紙の内容は違うといい、提訴を匂わせ、圧力をかけて来たものと見る。
報道する本紙の立場からすれば、とんでもない行為で、だからこそ、前述のように①A氏とはどういう関係なのか、②このA氏の見解=エックスモバイルの見解なのかと問うたわけだが今回は梨のつぶて。
そこで、本紙としては、このA氏のメールを公開。
そして、A氏が事実と著しく異なると主張する3点につき、以下、この記事を持って反論することとした。
どちらの言い分が正しいか、読者に判断していただきたい。
また、本紙としてはこうしたやり口(A氏にメール依頼したかどうかさえ返答しない)は卑劣であり、報道の自由に対する妨害であると、強く抗議したい。

(1)A氏が事実と著しく異なると主張する1点目(メールより抜粋)
「第一に、記事が『違法ではないのか?』と疑問を呈している資金調達の枠組みについてです。本件ファンドは、金融商品取引法第63条に定められた『適格機関投資家等特例業務』の制度に基づき、法令に完全に準拠した形で組成・勧誘が行われました。本制度は、専門知識を有するプロの投資家を対象とすることが前提であり、投資判断に必要な重要事実(本件ではTOB計画)を限定された参加者に開示することは、法的に認められた適正な手続きです。これは、情報の非対称性を利用するインサイダー取引とは全く異なり、むしろ全参加者が情報を共有する『クロクロ取引』の考え方に沿った合法的なものです」。

〇本紙の反論
適格機関投資家等特例業務というのは理解しているが、以下の点で問題があると考える。
・エックスモバイルTOBファンドの募集は限定された参加者のみを募集したものではないと思われる(現に本紙に情報提供した者が存在する)。
・買付価格や資金調達の根拠が不明確、株価が「50倍でリターン10倍」(横写真)等は著しく誤認させる表示に該当する(金商法違反)。

*編集部注。当初、上記2点に加え、「・エックスモバイルTOBファンドはまだ適格機関投資家等特例業務の届出をしていないが、募集行為をしている(金商法違反)」とも記していたが、これは誤り。訂正し、お詫びします(9月5日0時30分。ただし、この訂正を持って、疑惑が完全になくなるわけでは当然ない)

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