アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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超一等地ビル乗っ取り疑惑――あの反社と密接交際の元上場企業社長息子が取得していた

 東京都港区虎ノ門1丁目――地下鉄「虎ノ門駅」の地上出口、旧文部省庁舎(現・文化庁)対面、またはみずほ銀行虎ノ門支店が隣ビルという都心の超一等地に「虎ノ門産業ビル」という地下2階地上9階建てビルはある。
建設されたのは昭和35年のことで、建物自体にはそれほど価値はない。
だが、そのビルが建つ敷地約100坪は時価60億円とも見られている。
このビル不動産は建設時から「上田一族」や、一族が役員に就く法人「虎ノ門産業ビル」などが所有していたが、異変が起きたのは2021年3月。
この不動産に、虎ノ門産業ビルの役員に就いていた上田一族の一人X氏を債務者に、5億円の根抵当権仮登記が、「信嘉」(東京都中央区)なる不動産会社により付けられる。その額はその約1年後には10億円に増額。また、21年12月には1億円の抵当権が、同じくX氏を債務者に、「SYコーポレーション」(東京都世田谷区)により設定される。
さらに翌22年4月には、虎ノ門産業ビルの役員に、元暴力団組員Iと前科多数の事件屋A氏が入って来る。
この抵当権にしろ、役員就任にしろ、正当なものでないことが、その後の訴訟で明らかになるのだが、22年8月には、写真週刊誌『フライデー』が「地権者が“拉致”され…東京・虎ノ門地面師達の『仁義なき戦い』」の見出しで報じる。そう、上田一族のY氏が、同年4月、若い男に「散歩に行きましょう」と連れ出され行方不明に。Y氏は知的障害を持っている。そして、行方不明の翌日の日付で、Y氏は赤坂2丁目に自宅を持つが、その住所が千葉県市川市の借家に移転、また、赤坂の自宅に2億円の抵当権が設定された(その後、第3者に売却に)。同じく前出X氏も所在不明に。
ここに至り、警視庁も動き出し、幸い、X・Y氏の2人の生存は確認されている。もっとも、その後も同ビルにはX氏、さらにはY氏も債務者に、新たに巨額の抵当権が付けられる(*ただし、前出の信嘉、SYコーポレーション分は抹消に)し、前出・虎ノ門産業ビルの役員には、前出・信嘉の仲間と見られる「鈴木」なる弁護士が代表にまでなって今日に至るも、事件化はしていない。
本紙がこの虎ノ門産業ビルの件を今ごろ取り上げるのは、この間、フライデー以外にも、一部情報紙が詳細を報じるも、この1年ほど追加報道がないなか、今年2月、X氏の持分はすべて“乗っ取られた”法人「虎ノ門産業ビル」に、そして7月にはY氏の持分も「トランジット」(東京都港区)に移転し、要するに地上げは完了していたからだ。
しかも、結局、誰がまとめ上げたのかと思ったら、上場企業社長だったものの、反社絡みで世間を騒がせた挙句、上場廃止に。その後も、怪しい動きがあり、本紙でも何度か取り上げたことがある人物の息子だったことが判明したからだ。

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