中務稔也氏(冒頭右写真。73)が代表を務める不動産会社「ゼフィア」(大阪市淀川区)が、大阪のお寺「正圓寺」(阿倍野区)に対する債権者として破産申立をしていたところ、6月18日、大阪地裁は破産開始決定を認めた。
だが、この決定は不可解極まりない。
というより、ゼフィアが昨年7月31日付で提出した「破産手続開始申立書」(冒頭左写真)を検討すると、架空の債権を債権があるものとし、また、正圓寺に財産があるのに財産がないとも主張する内容で、中務氏だけでなく、申し立て代理人の弁護士法人「カイロス総合法律事務所」などの弁護士も含め、詐欺破産罪にさえ問われ得るのではないかと思われるほどデタラメな内容なのだ。
では、なぜそんな申立が認められたのか!?
その疑惑に関しては追って報じるとして、第1回目の今回は、そのデタラメぶりにつき解説する。
1.架空の債権
中務氏が申立書で記しているゼフィアの債権は総額6億円以上になる。
ところが、この中務氏指摘の債権は実際には2800万円程度に過ぎないと思われる。
以下、その理由につき、具体的に述べる。
①お寺が境内に建設予定だった特別養護老人ホーム建物の未払い建設代金を立て替え払いした2億5000万円
だが、実際にはこの建設中止になった建物をゼフィアが買い取っているかたちなので債務は0円では?
②正圓寺の不動産に設定された3つの抵当権を買い取った債権が計2億6465万円
(内訳は竹内祐志氏1億円、西村浩被告7765万円、南野潤二氏=執行猶予確定=8700万円)
だが、これは架空の債権を設定したものと思われる。
今回の乗っ取り事件で、前出の建設代金未払でお寺が仮差押を受けた際、差押逃れのためにと自分らの会社に名義を移した件も含め前出の西村・南野は逮捕されていることからも、その可能性が極めて濃厚だ。
だからこそ、中務氏側が実際にその債権を買い取った額は、竹内氏分300万円、西村被告分500万円、南野氏分2000万円の計2800万円に過ぎない。
ところが、中務氏側は、自分も架空債権と知りながら、だから安値で買い取りながら、その架空債権満額の債権があると主張している。しかも、買取後、この乗っ取り事件で西村・南野両氏は逮捕されるが、中務氏はこの2人とそもそも連携していた可能性があるのだ。
③その他の1個人、2法人の債権が計約9000万円
申立書に書かれているので、この債務もゼフィアがお寺の代わりに立て替え返済してあげたので自分の債権と主張しているのかと思ったら、実際は他の人の債権に過ぎない。
こんなものまで、自分の債権と主張するとは意味不明だ。
以上を見ただけでも、もう十分にデタラメさが疑い知れるが、それは「正圓寺に財産はない」、「正圓寺の持っていた不動産のすべては中務グループが正式に全部買取って、全部中務グループのものである」旨の主張についても同様だ。(横写真=今回の破産申立に対するお寺側の「答弁書」より。本紙アクセスと申立人=中務氏との訴訟で、中務氏の「乗っ取り」が認定されたことを指摘している部分)
2、正圓寺の財産を隠ぺいして申し立て
本紙既報のように、本紙は中務氏にもお寺乗っ取りの疑惑があるなどと報じて、中務氏個人に7件も提訴された。だが、その最大の疑惑であるお寺乗っ取りに関しては、すでに本紙との裁判が確定しており、同訴訟で裁判所は、中務氏はお寺乗っ取りの疑惑どころか、乗っ取っていた旨を認定している。
つまり、お寺は現在もこの乗っ取られた不動産約3500坪を所有していると見るべきで、その資産価値は約30億円ある。
そうすると、約30億円もの資産があるお寺につき、なぜ1億円にも満たない債権のために破産申立するのか、また、そんな申立を裁判所は認めたのか?
この正圓寺の住職だった辻見覚彦受刑者(前出・南野氏らに唆されお寺の所有権を虚偽に移転したことなどで判決確定により)と共に逮捕された元総代が、驚くべき証言をする。「正圓寺は、約3500坪の不動産を所有しています。現在裁判中ですが、中務氏と昔から知り合いの事件屋の古西経治経由で中務が買ったと主張しているお寺不動産の一部の約1500坪は、古西が別の裁判で“中務から売買代金を受けとっていない”、“資金を借りただけだ”と認める判決が出ていますし、その部分も中務側に勝ち目はありません。また、本堂や奥之院のある約2000坪の不動産についても、中務、古西、三野康行(ゼフィア専務)を詐欺で告訴した時(正式受理になっている)、中務も三野も“その不動産は買ったものではなく、他からの差押から守るために一旦所有権をゼフィアにしただけ”、“正圓寺に返す不動産です”と言って、警察や検察に供述している調書があります。
私は何度も中務を逮捕するようにいいましたが、警察も検察も『“中務のしていることは確かに悪い。詐欺や”。だけど、“中務は不動産を返すと言ってる”から逮捕しない』と言って逮捕されなかったんです」。
この証言のように、この元総代と元住職の辻見受刑者の刑事裁判では、中務氏は正圓寺から不動産を買ったものではなく、正圓寺に返すものと供述した調書がたくさん証拠として出されているという。
それだけでなく、「境内不動産は正圓寺のもの」と中務自身が供述した調書も裁判の証拠で出て来ているという。
したがって、中務氏自身、正圓寺が不動産の所有者であるということを重々知りながら、刑事と民事で違う主張をし(民事では自分は正当にお寺不動産を買ったので自分の持ち物だと)、今回の破産開始決定申立でもそういう虚偽主張をしているのが事実なら、繰り返すが、詐欺破産罪に抵触するのではないか?
前出・元総代がさらなる驚きの証言をする。