鹿児島市街を一望する標高108mの高台、城山。その頂にそびえる「城山ホテル鹿児島」は、桜島と錦江湾の絶景を望む鹿児島随一のホテルだ。
1963年の開業以来、鹿児島の象徴的な存在として親しまれ、国内外の賓客を迎え入れてきた。
地元では「鹿児島の迎賓館」と呼ばれ、冠婚葬祭から国際会議まで幅広い場面で利用される鹿児島の顔である。
しかし、この華麗なホテルにも大きな試練が訪れる。
バブル経済崩壊後、過剰投資のツケが一気に噴き出し、経営は急速に悪化。巨額の負債を抱え、存続すら危ぶまれる状況に陥った。
そこで立ち上がったのが、地元の雄・鹿児島銀行(=「九州フィナンシャルグループ」7180。東証プライム。熊本市西区=傘下)だ。
同銀行は「地元経済を守る」という大義を掲げ、再建スキームを主導。地元の信頼を背景に、実質的なホテル救済に乗り出した。
表向きは「英断」として評価されたこの再建。しかし、その裏ではいくつもの疑惑が密かに囁かれていた。
再建の過程で、最も注目されたのがパチンコ事業の不可解な売却だ。
城山ホテルグループ傘下の遊技場関連事業(パチンコ店)部門を、株主総会の正式議決を経ずに子会社化→転売したとされている。
しかも、売却価格は実勢価格よりはるかに安く、不透明な取引だった。
鹿児島銀行はこの取引の仲介役を担い、手数料を得たとされる。
「地元を守る再建」の美名の裏で、不正とも取れるスキームが進行していた可能性は否定できない。
さらに、2006年には決定的な動きがあった。