本紙では2024年からゴキブリが大量発生、また建物の壁のひび割れが激しい福岡県北九州市の新築マンション(冒頭写真。12階建て。42戸)を巡る住民側と地場大手分譲マンション会社「タイヘイ」とのトラブルを適時、取り上げている。
タイヘイはゴキブリ大量発生はアフターサービス対象外、ひび割れについては「温度や湿度、乾燥伸縮が原因で、程度の大小はあるが建築後ほぼ必ず起きる」現象で問題ないとの主張だ。
ところが、事態を重く見た住人側は結束し、マンション管理組合から民間検査会社に調査を依頼。その結果、「構造スリットの欠落」があることを本紙は4月9日に報じた。
今年2月、下関市内のマンションでは245箇所中38箇所(15・5%)しか構造スリットが設けられていないことが発覚し、工事やり直しになったことが大きく報じられたばかり。
構造スリットは震度5強程度の中規模地震において建物が損傷せず、無被害であることを基準としており、その欠落は最悪の場合、震度5強程度でもマンションが倒壊し、人命を失うリスクもあるのだから看過できるはずもない。(*本紙YouTube版でも既報)
もっとも、北九州市のマンションの検査は基本、外側から一部の箇所だけを調べたもので、構造スリットの欠落がどの程度あるかは不明だ。また、この時点では他にどんな問題があるかは不明だった。
その後、本紙はその調査報告書を入手した。
ただし、調査報告書が示す指摘箇所は1386件と膨大で、本紙が入手したのはその一部52件のみのものだ。
もっとも、それでもタイヘイの主張する「ひび割れに問題はない」との主張はもはや破綻していると思われる。また、その報告書を見るとゴキブリの大量発生の原因になり得ているのではないかと思われる手抜きもあったことも窺える。