アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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耐震構造不備(「構造スリット」施工せず)――下関市に続き、本紙報道の福岡市ゴキブリ大量発生マンションでも

 山口県下関市内に建設されたマンションで、耐震性を高めるために柱と壁の間に設ける「構造スリット」(3~5㎝ほどの隙間。そこに緩衝材などを詰める)がないことが明らかになり、大手マスコミが一斉に報じたのは今年2月のことだった。
その問題のマンションは同市山の田東町の鉄筋コンクリート10階建の分譲マンション(冒頭写真。75戸)。2006年2月に完成。準大手ゼネコン「三井住友建設」(1821。東証プライム。東京都中央区)が建設、「ベスト電器(当時。福岡市。2021年、「ヤマダホールディングス」=9831。東証プライム。群馬県高崎市=傘下「ヤマダデンキ」に吸収合併)が土地を所有、販売していた。
10年ほど前から壁面のひび割れ、漏水などが度々発生。マンション管理組合が民間の検査会社に調査を依頼し発覚。三井住友建設が建物外側から245カ所を調査したところ、38カ所(15・5%)しか構造スリットが設けられていないことが明らかに。
建設基準法違反の可能性があり、同社は2月下旬の住民説明会で謝罪。三井住友建設は同社負担で是正工事を5月から始め、来年3月までに完了するという(工事のため住居を一時退避する世帯に対する補償も全面的に対応)。
 なぜ、図面通り施工しなかったのか気になるが、三井住友建設は「引き渡しから18年以上経過しており確認が困難」としている。
この構造スリット設置は1981年の建設基準法「新耐震基準」から採用され、阪神淡路大震災(1995年)を契機に耐震設計の一手法として本格的に採用されているという。
この耐震構造不備は、大地震が起きた場合、最悪、マンション倒壊の恐れすらあり、人命を落とす可能性もある重大欠陥工事といえる。
ところで、本紙では昨2024年からゴキブリが大量発生、また建物の壁のひび割れが激しい福岡県北九州市の新築マンション(12階建て。42戸)を巡る住民と販売会社とのトラブルを取り上げているが、こちらでも「構造スリット」が設けられていない個所がかなりの割合あることが判明しているという。

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