「エルアイイーエイチ」(旧「東理ホールディングス」。5856。東証スタンダード。東京都中央区)は8月23日、代表取締役だった福村康廣氏(冒頭写真。若いころのもので現在は白髪。68)を解職し、取締役だけとした。その理由として、同社は24年3月期大幅赤字となっているのに、福村氏は自身の役員報酬を月額1億円にアップさせ、取締役会の承認を得ずに12億円を出金。
また、頻繁に出張し、その額は1件当たり300万円を超え、24年3月期だけで34回、合計1億5900万円になるという。
さらに福村氏は他の取締役に対し、度重なる罵倒、暴言などパワハラも酷く、このような行動は同社の代表として適格性を著しく欠くため解職したとしている。
そして9月13日には、株主から、会社から福村氏に出金された計13億6800万円を支払えとの訴訟提起をせよとの株主代表訴訟が提起されたことが同社HPでやはりIRされた。
一方、福村氏は、エルアイイーエイチの持分会社である「エス・サイエンス」(5721。東証スタンダード。東京都中央区)の代表取締役もしていたが、エルアイイーエイチ代表解職に先立つ8月14日、代表も取締役も辞任していた。理由は一身上の都合とされる。
福村氏はエルアイイーエイチの株式を個人と妻併せ3分の1以上保有。そのエルアイイーエイチは、エス・サイエンスの株を約22%保有し、実質、両社を長年に渡り支配して来た。
本紙はこの福村氏と因縁がある。
福村氏の会社私物化は長年に渡っているし、架空増資の疑惑もあり、兜町筋では昔から福村氏は「増資マフィア」と呼ばれ、また両社は仕手株としても有名だった。
その一端を本紙・山岡が本紙と『別冊宝島』に書いたところ、旧「東理」並びに福村氏個人に計1億円の損害賠償請求と、謝罪広告を求め提訴されたことも。2006年3月のことだ。
これに反撃すべく、本紙では東理と福村氏に関する疑惑を書き、そのなかには架空増資に関するものもあったが、それに関連する特別背任容疑で福村氏は09年11月逮捕に。
ところが、当局の詰めが甘かったからだろう。福村氏は一審無罪となり、検察は控訴せず11年12月無罪確定。翌年には社長に復帰していた。