アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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今野智博元衆議院議員の弁護士法違反事件主犯格・辻直哉被告の初公判報告

9月10日午後3時から(4時10分まで)東京地裁で、元衆議院議員・今野智博弁護士(冒頭写真左。48)の弁護士法違反(非弁提携)事件で、今野被告に名義貸しを頼んだ辻直哉被告(冒頭右写真。51。同容疑)ら2人の初公判があった(裁判長は坂田威一郎)。
この事件、本紙では7月13日にその概要を紹介し、極めて悪質かつ弁護士の信頼を失墜させる悪質な事件と解説している
表向きは「詐欺被害の返金は弁護士にお任せ下さい」などと今野被告の事務所サイトで謳い顧客を集めていたが、実際は、名義を借りた辻被告らは弁護士資格がないので本来そういう業務は出来ないのに対応しており、昨年9月から今年3月までの約半年間で詐欺被害者約900人から計約5億円を集金。しかも、被害金回収はまったくというほどやってなかった。
この事件では、10数名が同容疑で今年6月中までに逮捕されたが、起訴されたのは今野・辻被告ら3名。この日、辻被告と初公判があったのは、同じく弁護士資格がなく、辻被告の部下的立場だったと見られる松井宏被告(37)。
傍聴のための抽選があり、傍聴者によればマスコミ15席、一般40席は全て埋まっていて、世間の注目度が高いことが伺えた。
その理由は、辻被告は前科無ながら、別の高級時計詐欺事件、仮想通貨(EMIコイン)詐欺事件などにも関与しており、その被害者が多数来ていたためと思われる。
ただし、大手マスコミは少なくとも昨日段階では、この初公判をどこも報じていない模様。
なお、辻被告は保釈中でスーツ姿。一方の松井被告は未だ拘留中のため刑務官2名に抱えられて手錠と腰ひもを付けて登場。この差は、松井被告は全国で被害者約1500人、被害総額約5億円の副業詐欺事件に関与し懲役5年の実刑の前科があるためだろう。
検察の冒頭陳述などによれば、辻被告は2023年4月に知人を介して今野弁護士と知り合い、同年5月、今野被告に非弁行為をもちかけ、同年8月、東京都港区新橋5丁目のビル(横写真)を拠点に非弁行為を展開。同事務所は(株)「アークス」名義で賃借していた。なお、この事務所を用意するなど、同じく主犯格と見られる湊和徳容疑者(40)は同容疑で8月14日に逮捕されている。
今野弁護士は埼玉県に滞在し、東京都内には不在だった。
辻被告が今野弁護士に成りすまし顧客対応していた。
被害者は皆、弁護士が直接対応していると思いこんでいた。辻被告は他にも非弁提携で協力してくれる弁護士を捜していたが現れなかった(*ただし、神奈川県弁護士会所属の鈴木健弁護士=55=が今野被告の共同受注先となり、神奈川弁護士会は8月9日、鈴木弁護士の懲戒手続きに入ったと公表)。
今野被告は、直接、埼玉県の今野法律事務所に来たクレームのみ対応も、昨年11月にはあまたのクレームに対応しきれなくなり、12月29日にインターネット広告を停止している。
だが、その後も辻被告らは、過去に詐欺や窃盗の前科がある者たちを使い、組織的に顧客を煽り、ロマンス詐欺事件の他にも、仮想通貨詐欺、FX詐欺、その他詐欺被害事件でも、あたかも被害額が返金できるかのように装い着手金をせしめていた。
そうして集めた約5億円の内、5000万円(10%)が今野弁護士(被告)、4億5000万円(90%)は事務所賃借や広告、人件費などもあるので前出・湊被告が、そして辻被告は約2500万円(5%)を個人報酬として受け取っていた。

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