「東京機械製作所」(6335。東証スタンダード)といえば、一昨年、中国系企業による株買い占めに会い、同社が「読売」など新聞社の印刷所印刷機メーカーだったことから、「中国によるメディア支配?」と、わが国経済安保上からも注目を集めたのは本紙でも既報の通り。
結局、新聞各社が買い占め分を買い取ることで決着が着いた後、今度は中国系仕手グループが「三ッ星」(5820。東証スタンダード)に触手を伸ばしこちらは経営権奪取に成功。この三ッ星もキャップタイヤケーブルなどの歴史と実績あるメーカーであることから、「ポスト東京機械」とも言われるも、売上高は100億円以下でやはり小粒だし、業種が経済安保上の懸念を東京機械のようには想起させない。そして、今のところ目立った動きはない。
そんななか、同じ中国系仕手グループが今度は売上規模が一ケタ上の、それもわが国の主要産業である自動車関連メーカーに目を付け、すでに買い占めを始めているとの有力情報が。
その本題の前に、先週、仕組債の販売で金融庁が地銀99行の調査を行うとの報道があった(冒頭写真は「日経」)ので、そちらについて述べておく。
仕組債の問題がいわれてもう20年近くは経つだろう。
証券会社が販売していた時代もトラブルは発生していたが、顧客は株式投資、投資信託などに慣れており、社会問題になるほどではなかった。ところが、定期預金など元本保証商品に慣れ親しんだ一般顧客への販売を認めればトラブルが多発するのは必然で、金融庁の判断ミスが原因では。
金商法では「利益相反」は禁止されている。顧客と販売金融機関との利益が相反する行為は違法ということだが、仕組債は、オプション(以下OP)の売りを利息に充当している。OPの売りは元の商品が下がることを前提としている。要するに、下落することで組成会社は利益を得て、逆に購入者は損失を被る。つまり金商法で禁止されている「利益相反」の疑いがある商品なのだ。
そこで、まずいと見た金融庁は今ごろ、自分たちが責められる前に銀行を調査しようとしているということか? これについては、被害者投資家が団結し金融庁にも訴えるべきだろう。