宝飾品の製造御大手「ナガホリ」(8139。東証スタンダード。東京都台東区)といえば、現在、株主との経営権争奪戦で注目を集めている企業。
「三ッ星」も同じ状況だが、同社は買収防衛策が裁判で認められなかったのに対し、本紙でも既報のように、ナガホリの方はポイズンピル(既存株主に新株予約権を発行し、株買い占め側の株式保有比率を下げる)で完全阻止しようとし、6月29日の定時株主総会では株主の賛同を得ている。今後、実施されると見られるが、現在はナガホリと乗っ取りをかけていると見られる株主2社との間で、文書により互いの主張を交換しており(冒頭写真=株主側が出した9月16日付文書の一部)、その文書はナガホリのHPで公開されている。「当社株式の大規模買付行為等への対応について」という項目がそれだ。
そのなかに、今年3~4月にかけナガホリ株9・96%を一挙に保有した「リ・ジェネレーション」(東京都港区・尾端友成社長)が、ナガホリの100%子会社「仲庭時計店」(大阪市中央区)に対する貸付及びその貸倒等に関する質問がある。
ナガホリのここ数年の損益決算書を見ると、毎期、多額の貸倒引当金が出ており、その大半が仲庭時計店に対するものだが、ナガホリの事業報告書や有報などの開示資料ではその損失計上の内容に関して触れている記述が確認できないので、具体的な開示をお願いしたいというもの。
この最初の質問が7月28日。そして9月26日までにリ・ジェネレーションは3度に渡り開示を求めるも、ナガホリは「法令等から開示の必要性はない」に始まり、仲庭時計店の赤字の原因は「大口取引先の営業方針の大幅な転換」「複数の突発的な要因」と曖昧な答えをするだけで具体的な開示を拒否し続けている。
この件に関し、本紙に情報提供があった。
結論を先にいえば、仲庭時計店では長年に渡り複数の社員による時計の横領事件が起き、かなりの損害を被っていた。ナガホリからの多額の貸倒引当金のなかには、その穴埋め分も含まれている可能性がある。しかも、この不祥事につきナガホリは一切公表していない。それどころか、その隠ぺいにつきナガホリの長堀慶太社長(上右写真)、吾郷雅文常務が主導的に関わっていた可能性さえある。
これらが事実なら、ナガホリがその発覚を恐れ、開示を頑なに拒むのも無理ないだろう。