アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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コロナ禍での自宅療養先選定で小池都知事に「もっと真っ当な医療法人にして欲しい」と言われた、わが国美容外科業界の問題点

「もっと真っ当な医療法人にして欲しい」――東京都(小池百合子知事)がこう言い放ったのは20年4月のことだった。
美容外科大手「湘南美容クリニック」が、新型コロナ感染者が急増し、東京都の医療体制が逼迫するなか、菅義偉官房長官(当時)とのコネを使い、東京五輪警備のために建設中だった東京湾岸部のプレハブ宿舎を改修し、その医療行為に同クリニックを当たらせようと打診した時のことだった。
詳細はその件を報じた『週刊新潮』記事(冒頭写真。20年8月6日号)をご覧いただきたいが、この都側の表現が、わが国における美容外科業界の低い地位を物語っているだろう。湘南美容クリニックの創業者で代表の相川佳之氏は、こうした低い見方を見返すべく、最近は一般医療分野にも進出、そしてコロナ治療もキチンとできるんだと見せたかったのだろう。
ところが、この都側の「もっと真っ当な」との言葉は医療業界にたちまち広がり、相川理事長は逆に大恥をかくことになった。
実際、この都の態度に限らず、保険医療行為をしている医師は、美容外科医師は同じ医師と見做していないというのが一般的見方だ。金儲けのために、医師の魂を打った輩とあからさまにいう医師もいるほど。
何がどんなに違うというのか?
相川理事長を良く知る複数の関係者に話を聞くことが出来たので、同クリニックを通してわが国美容業界の現状、問題点、そして今後の在り方につきレポートした。

湘南美容クリニックの相川理事長(横写真)は、11月30日に逮捕された田中英寿容疑者が理事長の日本大学医学部を1997年に卒業。そして1年後には美容外科クリニックに転職し、2年後の2000年に出身地の神奈川県藤沢市内に湘南美容クリニックを開業。そして、今や一大グループに育て上げている。
しかし、美容業界では大手になったものの医療界の医師からはまったく認められない状況にずっと反発をしていたと元幹部は言う。そこで満たされない心を満たすために、資金にモノを言わせ、医療法人を買いオーナーになったものの、医療界からは外様扱いをされ、結局は仲間に入れない。そこで、日本大学医学部同窓の順天堂大医学部教授、“天皇陛下執刀医師”の天野篤氏と懇意にしていることをアピールしながら、医療界への仲間入りを考えているようだと元幹部は続ける。
そして「彼は人生をもっと謳歌したい考え、再婚をし、パイロットの資格を取りましたが、本業の美容医療に真剣に向き合うことは少なくなって行きました。医師の採用でも、本当であれば形成外科出身の医師が必要ですが、そんな医師はなかなか来てくれませんので内科医を採用して現場に立たせています。実際、初めてメスを持ったと言う医師がいます。むろん、病院側でキチンと教育はしますが、大学医学部の教育と同じレベルではありません。もう彼は昔とは医療に対する考え方も変わってしまったと思えたのと訴訟件数も多いので、何となく怖くなって私は辞めました」と打ち明ける。
今、美容外科業界は大きな転換期にある。

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