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連載『詫びる覚悟はできてます』第5回「森下千里候補を巡るある疑惑」

筆者・中井仲蔵(コラムニスト)――この連載は、普段は某中小企業に務めつつ、こっそり雑誌やウエブ媒体に原稿を書くコラムニストの私が、あまり話題にならなかったニュースを拾い起こしてみようというものです。月2回の掲載を目標にしています。

 10月14日に衆院が解散となり、いよいよ選挙が始まりました。そこで今回は、ある選挙区の「疑惑」を取り上げたいと思っています。

その舞台となるのは、宮城五区。
立憲民主党の安住淳国対委員長(下写真)が、1996年からずっと勝ち続けている選挙区です。
そんな安住さんのホームグラウンドに、落下傘候補として、愛知県出身で東京で活動していたタレントの森下千里さん(冒頭左写真。40)が乗り込んでくるというではないですか。

森下さんといえば、その美ボディで2000年代前半のグラビア界を席巻した元レースクイーンでグラビアアイドルです。当時のコンビニには、必ず森下さんがグラビアを飾る雑誌が置いてあったのではないでしょうか。おそらく30~50代の男性はみんな覚えていると思います。当時からよく、歌手の森高千里さん(冒頭右写真。52)と混同されることはありましたが、この3月に森下さんが出馬表明をした際にも、「モリタカが出馬したのかと思った」という書き込みがネットにあふれ、とばっちりで森高千里さんがツイッターのトレンド入りするなどという珍事もありました。

そんな森「下」さんが深く関与するある疑惑――。その内容に立ち入る前に、まずは選挙における自民党総裁の独裁的権力についてお話しておきたいと思います。

ご承知の通り、日本の衆院選では、1996年から小選挙区比例代表並立制が採用されています。この制度を最大限に利用した自民党総裁といえば、小泉純一郎氏に他ありません。

中選挙区制の頃に権勢を誇っていた派閥のトップたちが皆、力を失ってしまったのをいいことに、「郵政選挙」と呼ばれる2005年の衆院選で、小泉総裁(当時)は自分に反対する自党の候補者たちに公認を与えなかったばかりか、彼らが立候補したのと同じ選挙区にマスコミ受けする落下傘候補を刺客として送り込んだのです。もちろん、小泉氏に歯向かった人々の多くは落選させられました。
そしてこれ以降、自民党員は時の総裁に対してはグスッとも言えなくなってしまったのです。

自民党の総裁に与えられたこの権力をゴリゴリと推し進めたのが、安倍晋三元首相。2019年の参議院選挙で、かつて自分のことを手厳しく批判した溝手顕正元国家公安委員長を落とすべく、選挙区の広島県選挙区に1億5000万円もの「実弾」とともに別な候補者を送り込んだのです。この結果、溝手氏は落選し、当選した河井案里氏は公職選挙法違反で逮捕されたのはニュースでご覧になった方も多いことでしょう。
ちなみに溝手氏の安倍批判発言は2007年と12年にありました。07年から19年参院選まで12年。犬の寿命に匹敵する長さですが、その間、ずっと恨んでいたわけですね。なかなかの粘り強さです。

さて、自分と志を同じにする自民党員ですらここまで冷酷に扱うのだから、一度恨みを買った他党の議員などは、これはもう全力で殺しにかかるのは間違いありません。

 2017年、森友学園問題で、衆議院において安倍晋三氏から「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」という大失言答弁を引き出した、福島伸亨さんという民進党(当時)の議員がいました。このかたは、2017年の衆院選で落選の憂き目にあっています。

選挙の翌年のインタビューによると、福島氏の茨城一区には、安倍晋三氏のほかに創価学会の原田稔会長、石破茂氏、小泉進次郎氏、片山さつき氏、公明党の石井啓一国交相(当時)など、錚々たるメンバーが対立候補の応援に回り、かなり熾烈な選挙戦になっていたようです。思えば森友学園問題が日本を揺るがす大事件に発展したのは、安倍氏によるあの「私や妻が?」発言でした。
なんだか自業自得というか身から出た錆というか、福島氏を憎むのはお門違いのような気もしますが、安倍さんにとっては逆恨みしたくなるくらいの大ダメージがあったのでしょう。創価学会の会長まで引っ張り出して、息の根を止めにかかったわけですから、その憎しみの深さは想像をはるかに超えるものがありそうです。

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題。

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