2月11日、東京・代々木第一体育館で、チャリティーボクシングイベント『LEGEND』が開催され、日本ボクシング史上最強とされる井上尚弥・WBAスーパー&IBF統一世界バンタム級王者と比嘉大吾・WBC世界フライ級元王座とのエキシビジョンマッチなどが行われた。
このチャリティーボクシングイベントを主催したのはPCR検査会社「オンサイトスクリーン」(東京都港区)というボクシングとは縁のない民間企業。
しかし、プロのライセンス保持者は本来競技団体主催の試合にしか出られない。それはエキシビジョンマッチであっても原則同様で、もし可能とすれば競技団体側の許可を得るべきであるはず。
そうした疑義が出ていたこと、またPCR検査会社がなぜ井上選手らに声をかけて開催にこぎ着けられたのかに関しては、LEGEND開催前日、本紙で報じているので同記事を今一度ご覧いただきたい。(冒頭写真=『週刊新潮』2月18日号記事)
案の定、LEGENDに参加した複数の現役選手が所属するジムの任意団体「東日本ボクシング協会」(花形進会長=右下写真。日本プロボクシング協会会長でもある)加盟ジム有志で結成された「親睦会」から抗議どころか、花形会長らの権限停止、新会長選出、LEGEND調査会発足などを求める声が出、開催から3カ月以上経た今も内紛状態に陥ったままだ。
「花形会長はうちの協会理事会の承認を得ないまま、当日LEGENDのリングに上がり、協会の名で寄付金目録を贈呈した。それから新田渉世事務局長(日本プロボクシング協会理事でもある)は前日の2月10日、同じく理事会承認のないまま、協会事務局から協会に50万円の寄付を行うと発表。そして協会事務局員・林隆治氏(日本プロボクシング協会事務局長補佐)は試合前の記者会見に出て協会で協力を決定したと虚偽といっていい発言までしている。花形会長体制下による協会の私物化です。
しかも、このLEGENDはチャリティーと冠していたがそれは虚偽といっていい。井上選手だけでも3~5000万円のファイトマネーが出ているはずで、さすがにマズいと思ったのか、井上選手含め3名出場の大橋ジム所属選手から計80万円、大橋ジムから500万円を事後に協会に寄付すると発表。なぜ、主催者でない大橋ジムがそれも協会に寄付なのか? 意味がわからない」(協会関係者)
LEGENDを主催したオンサイトスクリーンは、簡易株式交換で「クレアホールディングス」(現・中小企業ホールディングス。1757。東証2部。岡本武之社長。東京都港区)の子会社になる予定だった。
そのクレアホールディングスは新型コロナ関連商品を発売していたので、本紙でも既報のように、オンサイトスクリーンが予定通り子会社化され、その親会社がクレアホールディングスの筆頭株主になれば、役員を送り込み、上場企業の信用で同じく新型コロナ関連のPCR検査キットを大々的に売るつもりだったはず。その前宣伝にLEGENDの場を利用しようという思惑があったことは容易に想像できる。
「チャリティーとか、コロナ禍で停滞しているスポーツ界を元気づけるなんていうのは建前で、本音は、オンサイト側と協会側の花形会長とその取り巻きの利益になるとの思惑が一致して強行しただけのことでしょう」(同)
もっとも、2月26日開催の東日本ボクシング協会総会でこうした声は抑え込まれ花形体制は続投。次いで5月17日、臨時総会が予定されていたが、これは緊急事態宣言中ということで延期に。というわけで、内紛は続いたままなのだ。
一方、クレアホールディングスの方の水面下でも、このLEGEND開催を巡りゴタゴタがやはり続いている。
そして、そのなかである経済事件とも絡む注目すべき人脈が浮上して来ている。